以前、SNSでニホンイシガメを助けたという投稿が話題になりました。ニホンイシガメは準絶滅危惧種ですが、どのような生き物なのでしょうか? 2014年からニホンイシガメの展示と保全活動に取り組んできた水族館に話を聞きました。
川や池、田んぼなどに生息
ニホンイシガメについて教えてくれたのは、千葉県鴨川市にある水族館「鴨川シーワールド」で希少生物の保全などを担当する齋藤純康(よしみち)さんです。
ニホンイシガメは淡水に住む日本固有のカメで、環境省「レッドリスト」では今後、絶滅が危惧される「準絶滅危惧」に指定されています。
川や池、沼、田んぼなどに生息し、少し流れの速いところを好むと言われているそうです。
甲羅の大きさは成長したメスでは20~30センチ、オスでは15~20センチほどになり、雑食性です。
「魚や貝、水生昆虫などを食べますが、活動範囲が広く、畑のトマトを食べていたという話も聞いたことがあります」と齋藤さんは話します。
クサガメやミドリガメに比べると少し神経質な面があるといい、「保護してもすぐにエサを食べない場合は、エビなど生のエサをあげてからだんだん市販のカメ専用のエサに慣らしていく」そうです。
ミシシッピアカミミガメやクサガメに比べると水質の悪化にも弱いため、一般の家庭で飼う場合は、こまめに水を取り換えなければいけません。
また、硬い甲羅を作るために紫外線が必要で、可能な限り日光浴をさせたほうがいいそうです。
2014年から保全活動
鴨川シーワールドでは、2014年からニホンイシガメの保全活動を続けています。
絶滅危惧種の淡水魚・ミヤコタナゴや水生昆虫・シャープゲンゴロウモドキなどを飼育していたこともあり、ニホンイシガメの保全に取り組む団体から「展示してニホンイシガメのおかれている現状を多くの人々に伝えてほしい」と依頼を受けたそうです。
現在展示している6匹のうち、1匹は野生から保護され、5匹は水族館で生まれたといいます。
齋藤さんは「ニホンイシガメは全国的にみると個体数は減っていますが、房総半島にはまだまだ自然が残っているので数は他の地域に比べると安定していると言われています」と話します。「豊かな自然が残る房総の自然を大事にしないといけないと感じてもらいたいです」
ニホンイシガメの数が減っている背景には、人間による乱獲や生息場所の開発、アライグマといった外来種による捕食被害などの影響があり、その現状も知ってもらいたいとしています。
館内の水槽では目線の高さでニホンイシガメを見ることができ、人間にも慣れているので近づいてくるカメもいるそうです。
齋藤さんは「様々な生き物が環境破壊や密漁、外来種の問題などで数が減っていることを多くの人に知っていただいて、いま何ができるのか考えてもらいたい」と話します。