人気の公園に “水草” 大量発生…正体は「オオカナダモ」遊覧船運航に支障 刈り取り追いつかず専用船も大忙し「富岩運河環水公園」富山

 富山県内有数の人気観光スポット、富山市の富岩運河環水公園で水草が大量発生しています。遊覧船の運航の支障をきたしていて、県が対応に追われています。

 富山市の富岩運河環水公園。緑豊かな美しい水辺空間として大勢の人が訪れる県内有数の人気スポットです。しかし…。

記者「富山市の富岩運河環水公園です。水面を見ると水草が大量に発生しています。辺り一面を覆いつくしています」

 連日の猛暑の影響か、水草が大量発生しています。公園を管理する県には「観光地なのにみっともない」「においがする」といった苦情が複数寄せられているといいます。

観光客「本当だ、近くでみたら確かに…たしかに言われてみるとちょっと気になりますね」
地元の人「(水草)多いですね。だんだん増えている感じはしますけど…。それが自然なのかなと思いながら歩いていましたけど」

■スクリューに絡まないようコース変更も…

 水草の大量発生の影響は、運河をクルーズする遊覧船にも…。

富岩水上ライン 清本孝治船長「お客さんがせっかく来られて印象が悪いとせっかく乗られたのに申し訳ないなと思って、そう思いながら走っているんですけど」 記者「ことしは特に多い?」
清本孝治船長「多いです。ことしは全然違いますね。水草が多いと水の色も変わってくるんですよね。緑っぽいんでね。”すごく汚いところだな”という印象を持たれたら申し訳ない」

 船のスクリューに絡まらないよう、運航コースに注意したり、場合によってはスクリューを逆回転させるなどの対応が求められているといいます。

■寒さに強く“越冬”もする厄介な水草…

記者「水の中はどうなっているんでしょうか…カメラを入れてみます」

うっそうと生い茂る水草が一面を覆っています。 この水草、実は繁殖力が強い厄介者なんです。

魚津水族館 不破光大学芸員「南米原産のオオカナダモといわれる水草ですね。1メートル近くまで伸びるので。川を覆いつくすというか、冷たい水の中でも生きられるので、水路、河川、ため池からいろんなところで生えています」

 魚津水族館の学芸員不破光大さんによりますと、オオカナダモは外来生物で、水路やため池などの日当たりが良い環境を好み、在来種の生息環境を脅かす可能性もあるといいます。さらに、寒さにも強く冬も枯れずにそのまま越冬する厄介ものなんです。

■専用船のバリカン状ナイフで刈り取り…

魚津水族館 不破光大学芸員「繁殖力がすごく強くて、きれっぱしからでも生えるので。栄養分があって明るい水域なら結構ニョキニョキと育っちゃうかなというイメージですね。春からまた水温が上がってくると、どっと伸びてくるかもしれないですね」

 これまで公園を管理する県は、水草の繁殖を防ぐために公園のすぐそばを流れるいたち川から新鮮な水を送り込んでいましたが…。

記者「装置が壊れてしまったため、いたち川の水位が下がってしまい環水公園に水を送れていません」

 公園に水を送り込むため、いたち川の水をせき止める「ラバーダム」と呼ばれる装置が故障したことも、水草の大量発生に拍車をかけたとみられます。

 こうした事態を解消するために県は、19日、急ピッチで作業に追われていました。

記者「全国にも数隻しかないという専用の船が、どんどん水草を刈り取っています。次々と水草が刈り取られていきます」

 水草を刈り取るための専用船。先端に取り付けられたバリカン状のナイフで水草を次々と切断し、水草を貯め込んで容量がいっぱいになったら別の運搬船へと搬出します。

■今年は専用船の手配も難しい…

県富山港事務所 水野豊彦工務課長「少ない時期に比べて10倍の水草の量を一生懸命、刈り取っている状況です。多く生えていることは間違いないです。全国に数台しかないということもありまして、引き合いがものすごく多い、琵琶湖とか諏訪湖とか。なかなか専用船を手配するのが難しくて…」

 県によりますと、この船は全国でも数隻しかない特殊な船で、県は毎年7月と9月に岐阜県の業者から取り寄せて公園の水草の刈り取り作業をしています。

県富山港事務所 水野豊彦工務課長「くまなく刈り取り作業をしていますので、また赤い船を見たら頑張っているなと思っていただけたらと思います」

 刈り取り作業は9月25日まで続きます。

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