天然記念物に水路を追加指定 国の文化審答申、四日市の御池沼沢植物群落 三重

 国の文化審議会は16日、天然記念物に指定されている御池沼沢植物群落(三重県四日市市西坂部町)のうち、未指定となっていた湿地内の水路を追加指定するよう、永岡桂子文部科学相に答申した。

 市や県によると、御池沼沢植物群落は伊勢湾西部の台地に形成された沼沢を含む湿地。ハンノキなどの林にアンペライやノハナショウブ、サギソウ、サワギキョウといった湿原の植物が生息している。

 寒地と暖地の植物が混生していることや、東海地方を中心に生息するシラタマホシクサの豊富さから、国は昭和27年に湿地を天然記念物に指定。同51年と54年の追加指定で範囲を広げていた。

 文化審議会が新たに答申したのは西部の湿地内にある水路で幅3・6―5・5メートル、長さ計約270メートル。トウカイコモウセンゴケをはじめとする食虫植物が繁茂している珍しさが評価されたという。

 かつては農業用で使われていたことから、天然記念物には指定されていなかったとみられる。答申通りに指定されれば、湿地の全域が天然記念物となる。市は水路を地元自治会から取得する方針。

 一方、周辺の区画整理によって昭和30年代から沼沢の水量や生息する植物の種類が減少。市が井戸を掘削して湿地に水を供給したり、ボランティアが外来種を除去したりして湿地を維持している。

 文化審議会は全国で7件を史跡、名勝、天然記念物に指定し、この水路を含む27件を追加指定するよう答申した。指定されれば全国の史跡、名勝、天然記念物は3353件となる。

+Yahoo!ニュース-地域-伊勢新聞