ため池で「いないはず」の魚が大量死、異臭騒動 釣り人が放流か

 茨城県小美玉市の農業用ため池で魚が大量死し、異臭騒動に発展している。市が護岸工事に向けて水を抜いたところ、本来いなかったはずの魚が大量に酸欠死。焼却処分した死骸は既に2トンに達し、市は釣り人が放流したとみて対応に追われている。

 異臭騒動が起きているのは、同市栗又四ケに位置する約55ヘクタールの農業用ため池「野村田池」。市農政課によると、池の浸食を防ぐ護岸工事のために9月上旬から水を抜き始めたところ、15日夕からブラックバスやコイの死骸が大量に確認されるようになった。

 排水を続けると、さらに死骸が増加し異臭も強烈に。池は住宅街に囲まれているため、近隣住民から「くさい」といった苦情が相次いでおり、市は焼却処分で対応している。

 同課などによると、ため池は湧き水による自然池を利用したもので川の流入はなく、自然に魚が入り込むことはないという。過去にわずかにいた魚も2011年の護岸工事でいなくなっており、釣り人が霞ケ浦などから運んで放流したものとみられる。池には釣り人が無許可で設置したとみられる木製の足場もみられ、近くに住む男性は「洗濯物が干せない。放流は迷惑だ」と話す。

 池を管理する栗又四ケ地区維持管理組合の井神久雄組合長は「事故が起きても困るので、看板を立てて釣りを禁じたが効果がなかった」とあきらめ顔。市の担当者は「異臭対策のため処理を急ぎたい。足場も悪く危険なので池には近寄らないでほしい」と呼びかけている。【森永亨】

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