マングース根絶近づく 奄美大島で4年捕獲ゼロ  環境省、情報提供呼び掛け

 環境省は10日までに、鹿児島県奄美大島で進める特定外来生物マングースの防除事業の2021年度実績をまとめた。わなや探索犬によるマングースの捕獲はなく、捕獲ゼロの状態が約4年にわたって続いている。同省は「生息数は極めて少ない状態か根絶できている状態」とみている。早ければ23年度の「根絶宣言」を目指し、根絶したかどうかを確認する手法の構築と防除完了に向けた作業を進める。

 奄美大島のマングースは1979(昭和54)年にハブやネズミの駆除を目的に奄美市名瀬で約30匹が放され、急速に分布域を拡大。推定生息数はピーク時に1万匹まで増え、アマミノクロウサギなど希少な在来生物を捕食して生態系に深刻な影響を及ぼした。

 各市町村が有害鳥獣として1993(平成5)年に捕獲をスタート。環境省は2000(平成12)年に駆除を本格化。05(平成17)年から外来生物法に基づく防除事業を開始し、捕獲を担うマングースバスターズを配置して駆除を進めた。

 捕獲総数は約3万2千匹。防除が進んで捕獲数は次第に減少し、18(平成30)年4月に1匹が捕獲されて以降、捕獲ゼロの状態が続いている。

 21年度実績報告によると、島内に設置した捕獲用のわなは約6700基を撤去して約2万1千基。わなや探索犬による捕獲はなく、474カ所の自動撮影カメラでもマングースは撮影されなかった。住民から12件の目撃情報が寄せられ、調査を行ったが、生息は確認されなかった。

 22年度もわなや探索犬、自動撮影カメラによるモニタリング調査を継続する。これまでの捕獲実績などの情報を基に、根絶確率を算出する数理モデルの構築を進める。合わせて根絶確認の判断材料とするため、マングースの目撃情報を収集しており、同省奄美群島国立公園管理事務所は住民に情報提供を呼び掛けている。

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