キョン拡散阻止強化 森林総研や大学PT 監視・防除システム開発本格化 初期対応、自治体と共有

 茨城県への侵入初期段階にあるとみられるシカ科の特定外来生物「キョン」について、研究者のプロジェクトチーム(PT)が関東平野への分布拡大阻止に向けた監視・防除システム開発を本格化させている。森林総合研究所(同県つくば市)をはじめ、県内外の研究機関や大学などの研究者が参加。定着地域や農作物被害を予測する地図の作成などに取り組み、初期対応の重要性を関係自治体と共有する。

 PTが進めるのは「キョン分布拡大阻止研究プロジェクト」。研究期間は2025年度から3年間で、独立行政法人「環境再生保全機構」の環境研究総合推進費を活用する。

 メンバーは森林総研や農業・食品産業技術総合研究機構(同)、東京農工大、麻布大などの研究者で構成。本年度からは愛知県農業総合試験場や埼玉県農業技術研究センターも加わった。

 研究テーマは①定着エリア予測地図の作成と、農作物被害やマダニが媒介する感染症リスクの予測②繁殖の鍵となる雌の侵入監視と対応システムの構築③ふんや食痕などに含まれる「環境DNA」を用いた生息確認と性別判定技術の確立-の三つを掲げる。

 成果を基に自治体が取るべき対策のガイドラインを作成するほか、シンポジウムなどを通して連携体制の構築を図る。

 PT代表で森林総研野生動物研究領域チーム長の亘(わたり)悠哉さん(48)は「研究者も危機感を抱いている。プロジェクトのベースとして、まず行政の体制が整っていることが大事。その働きかけもしていきたい」と話す。

 キョンは中国や台湾が原産。千葉・房総半島や東京・伊豆大島で大繁殖している。農作物や自然植生のほか、人家の樹木や花も食害する。茨城県内では17年に神栖市で確認された後、石岡、筑西、下妻、境の各市町で見つかった。今年5月には、古河市で県内初となる捕獲に至っている。

■古河の捕獲個体、境とは別 複数生息の可能性 監視継続 茨城

 茨城県古河市で5月に捕獲されたキョンが、同県境町で4月に目撃されたキョンとは別の個体だったことが19日までに分かった。当初は同一個体とみられていたが、「キョン分布拡大阻止研究プロジェクト」の調査で判明した。プロジェクトチーム(PT)の亘悠哉代表は「まだどこかにいる可能性がある。監視と捕獲の準備を継続すべき」と指摘する。

 キョンは境町塚崎で4月27日に撮影された後、古河市下大野のビニールハウスで5月31日に捕獲された。いずれも雄の両個体をPTが比較したところ、古河市では角が皮膚に覆われていたが、境町では角が出ている状態だった。

 町防災安全課によると、捕獲後の6月以降もキョンの目撃情報が3件寄せられた。ただ、画像や映像はなく、同じ時期にニホンジカも複数確認されており、混同されている可能性もあるという。

 同課担当者は「町内に複数のキョンがいる可能性もゼロではない」として、引き続き警戒する考えを示した。

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