ドンナス、イタリア、7月21日 (AP) ー イタリア北西部のバッレ・ダオスタ州にある葡萄園では、ふっくらとした葡萄の実が蔓に実っている。しかし、近くでよく見てみると、ただならぬ異変が起きていることがわかる。葉が1枚また1枚と食い荒らされているのだ。犯人は、外来種のマメコガネだ。
この害虫は300種類以上の植物の葉を貪り、葉脈を残してボロボロにしてしまう。
マメコガネがイタリアで初めて確認されたのは2014年、ミラノ・マルペンサ国際空港から程近いロンバルディア州のティチーノ公園でのことだった。航空輸送を通じて持ち込まれたと見られている。
以来、この害虫は北イタリア全域へゆっくりと生息域を広げ、アルプス山脈の麓にまで達した。 ドンナス町では、葡萄栽培農家が2025年に初めて被害に気づいた。 しかし、今年はマメコガネの個体数が爆発的に増加している模様だ。
地元のワイン生産者組合の副理事長で醸造家のビットリオ・コスタブロズ氏は、「私たちの最大の問題は、6月中旬に飛び立ち始めたマメコガネによる猛烈な被害です。羽化した途端、目につくものを片っ端から食べ始めました」と語る。
標高の低い葡萄園を食い荒らした虫は、次第に山の上へと移動している。
地元のワイン生産者、ルチアーノ・ゾッポ・ロンツェロ氏は「歴史ある葡萄園の段々畑を、マメコガネが段から段へと着実に進んでいるのが分かります。すでに10段目付近にまで達しており、被害が確認できます。山を登りながら次々と食い尽くしているのです」と説明する。
最も懸念されているのは、数世紀前の石垣で山肌に築かれ、原産地呼称保護(PDO)ワインの生産地として知られる歴史的な段々畑への影響だ。
ドンナスの葡萄栽培農家は殺虫剤による駆除を行っているが、その効果は一時的であり、散布には多大な労力と費用がかかる。急勾配の段々畑には重機が入れないため、作業員が手作業で薬剤を散布せざるを得ない。マメコガネが葉を食い荒らすことで、葡萄の房が直射日光に晒されるだけでなく、植物の光合成能力が大幅に低下してしまう。
ゾッポ・ロンツェロ氏は「恐ろしいのは、最終的に葡萄が熟さなくなることです。葡萄が熟さなければ、期待していたような素晴らしい収穫は望めず、使い物にならない成果しか手に入りません」と危惧する。
マメコガネは急速に繁殖しており、現在のイタリアには天敵が定着していないため、その数は驚異的なペースで増え続けている。
前出のコスタブロズ氏は「何カ月もかけて進めてきた仕事が、わずか10〜15日のうちに虫によって台無しにされるのを見るのは、実に悲しいことです」と胸中を明かす。
マメコガネの最も破壊的な特徴の一つは、大群で植物を襲う習性にある。
ミラノ大学の准教授で昆虫学者のダニエラ・ルーピ氏は、「集合フェロモンを持っているため群れを作って増殖します。1本の植物に定着すると大群を成し、葉を丸裸にし、果実や花まで破壊してしまいます」と説明する。
バッレ・ダオスタ州低地のワイン生産者の被害の全容を評価するには、まだ時期尚早だ。今年の収穫への本当の影響は、シーズンの後半になって初めて明らかになる。
しかし、イタリア国内でマメコガネがどれほど広範囲に定着してしまったかは、すでに明白だ。「対策を講じなければ個体数は増え続け、果樹や草木、観賞用植物に甚大な被害をもたらすでしょう」とルーピ氏は警告する。
この種を絶滅させることがさらに難しいのは、地中に卵を産むためだ。
ライフサイクルは約1年で、大人の成虫が夏場に地表へ出て飛翔して初めて、実際の個体規模が判明する。
最も広く用いられている防除方法の一つがフェロモントラップだ。
ダニエラ・ルーピ氏は「大量捕獲にはトラップを使用します。誘引剤として花香成分とフェロモンの2種類が使われており、オスとメスの両方を同じトラップに引き寄せることで、今後の産卵を防ぐことができます」と説明する。
根本的な解決策がまだ見つかっていない中、気候変動の影響や他の外来種による病害にすでに苦しんでいるワイン産業にとって、マメコガネの拡散防止は最大の課題の一つであり続けている。
(日本語翻訳・編集 アフロ)
