外来魚調査、水くむだけ!? 熊本市の江津湖 皮膚や分泌物、ふん…「環境DNA」で駆除効果検証

 熊本市は本年度、江津湖で、水中に含まれる魚類のDNAを活用した生息状況調査を進めている。「環境DNA調査」と呼ばれる新たな手法で、市が実施するのは初めて。江津湖に生息する外来魚の全体像を推定し、電気ショッカー船で実施している外来魚駆除の効果を検証する。

 水中や土壌には、生息する生物のDNAが含まれている。生物のフンや剥がれ落ちた皮膚、分泌物に由来し、「環境DNA」と呼ばれる。サンプルの採取は海や川、湖の水をくむだけ。従来の捕獲による調査に比べて労力がかからず、短時間に広範囲の調査が可能になるため、近年、注目を集める新手法だ。

 熊本市は現在、江津湖で電気ショッカー船を使った外来魚の駆除(年20回)と生息状況調査(年4回)を実施。同船から電流を流して魚を一時的に気絶させ、浮いてきた外来魚を網ですくって捕獲する。専門家が同行し、在来魚は目視で種類や数を確認している。

 同船でティラピアやブルーギル、オオクチバスなどの外来魚を年間千匹近く駆除しているが、「そもそも江津湖にどのくらいの数の外来魚が生息しているか分かっていないのが現状」(市環境共生課)という。

 市は捕獲調査で在来魚26種、国内外来魚7種、国外外来魚6種の計39種を確認。ただ、同船による調査では極端に浅い場所や深い場所は把握できないため、江津湖の魚類の全体像はつかめていないという。

 そのため市は環境DNA調査に着目。昨年11月に10地点で1回目のサンプルを採取し、検査機関がDNAの分析を進めている。「外来魚の数が推定できれば、駆除の効果を検証できる。江津湖で未確認だった新種も“発見”できるかもしれない」と同課。2月上旬に同じ地点で再びサンプルを取り、3月中にも分析結果をまとめる予定だ。(久保田尚之)

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