釣りの対象として人気を集める外来種のブラックバスですが、豊かな自然が広がる浜松市北部の天竜川水系では、近年、生態系を脅かす存在となっています。
打開策として釣り上げた個体の放流を禁じる新たなルールの運用が2026年の夏から県内で初めて導入されました。
浜松市の中心街から北へ約55キロ。豊かな自然が息づく佐久間地区です。
天竜川へとつながる大千瀬川は透明度が高く、おいしいアユが育つ清流として多くの釣り人が訪れます。しかし現場では、ある異変が起きていました。
■釣り人:「ブラックバスがアユを追っているのを見た」
<釣り人>
Q. アユ釣れました?
「きょうは釣れない。いやになっちゃった。(ブラックバスが)アユを追っているのが見える時がある」
<釣り人>
「アユ自体が、ブラックバスに追われて逃げちゃうから」
旺盛な食欲と強い繁殖力を有するブラックバス。生態系を壊すおそれから国の特定外来生物にも指定されています。
■年に2度駆除も個体数は減らず…
これは地元の漁協による調査写真です。ブラックバスの胃の中から稚アユの姿がー。この川で問題となっているのは、ブラックバスのなかでも「コクチバス」と呼ばれる種類です。
上流部にあるダムの放流などにともない、川に入り込んだとみられアユの生息域を脅かしています。
<浦川非出資漁協 丸山好司組合長>
「バスのせいで釣れないというと(今のところ)全体の1割から2割ぐらいだと思う。バスの団体が(アユを)いじめる行動にでると落ち着いてアユが餌を食べることもできない」
漁協は5年ほど前から年に2度、コクチバスを駆除していますが個体数は減らず。異常気象による水温上昇も追い打ちをかけ、アユを取り巻く環境は厳しさを増しています。
<丸山組合長>
Q. 危機感はある?
「それはありますね。今止めないと。友釣りを楽しみに来ている、アユを楽しみにしている人は減ってくるんでないか」
■県内初となる”リリース禁止令”を発出
こうした事態を受け、県は対策に打って出ました。
水産動植物の捕獲等の禁止や制限を指示できる委員会を通じて、静岡県内初となるブラックバスの「リリース禁止令」を佐久間地域の川を対象に発出したのです。
<県の担当者>
「ブラックバスは一度釣られたあとで再放流すると、次に釣られにくくなる。ルールを変えてしまうところはあるんですけど、皆さまにご理解とご協力をいただきながら自然や資源を守っていければ」
新たなルールの運用について釣り人の反応はー。
<ブラックバスの釣り人> 「それはすごく素晴らしいなと思ってて。より良い川になると思う」
<アユの釣り人> 「大歓迎ですね。アユ釣りの立場からすると。きょう子どもと話していて、ブラックバスが釣れたら持って帰って食べようと言っていた。アユが釣れる川って減っているのでここなんて貴重な川なのでぜひ残したいなと思う」
■命を無駄にせず“おいしくいただく”選択肢も
<伊豆川洋輔記者>
ブラックバスの放流を禁止にする今回の『委員会指示』に直接的な罰則はありませんが、放流行為を繰り返して知事の命令にも従わない場合は、1年以下の懲役または、50万円以下の罰金が科されるといいます。
<LIVEしずおか 水野涼子キャスター>
では、釣りあげたブラックバスは、どうすればよいのでしょうか?
<伊豆川記者>
県の担当者によりますと8月からは、その場で締めて持ち帰ることが絶対条件となります。
その上で食べるか、自治体の決まりに基づいた処理が必要ということです。
<水野キャスター>
食べても大丈夫なのですか?
<伊豆川記者> そうなんです。福井県は2025年から県内全域で釣り上げたブラックバスの放流を禁止していて、ホームページ上に調理レシピを掲載しています。
福井県の担当者で、ムニエルで食べたという鉾崎さんによると「身は高級な白身魚のようにふっくらして、においや臭みなどはなく絶品だった」とのことです。
生態系を守るための新しいルールの周知拡大と、厄介者をおいしくいただく食材としての可能性が期待されています。
