高級食材「キャビア」と言えばチョウザメの卵から作られることで知られていますが、そのチョウザメが、なんと宍道湖であがりました。 もちろん、本来は宍道湖に生息するはずのない生き物ですが…一体、どこからやってきたのでしょうか。
宝石のように輝く無数の大群…宍道湖の食を代表する「宍道湖七珍」のひとつシラウオです。
島根県出雲市の宍道湖自然館ゴビウスでは、近年漁獲量が減少しているシラウオの常設展示など、宍道湖や周辺水域に生息する生き物の生態を間近で見ることができますが、先週、ある驚きの生き物が仲間入りしました。
土江諒 記者
「巨大な二ホンウナギもいますが…あれ、なんですかね?絶対宍道湖にいる魚じゃないですよね?」
その生物は体長およそ1メートルの大物です。 尖った鼻に、ゴツゴツとした鱗…、コイや外来種・アリゲーターガーなど宍道湖で捕獲された魚と仲良く泳いでいるこの生き物は一体…?
宍道湖自然館ゴビウス 寺岡誠二さん
「チョウザメの仲間で、『シロチョウザメ』という魚です」
シロチョウザメ。
北米大陸の太平洋側に生息し、キャビアの原料としても養殖される硬骨魚類、つまり魚です。
「サメ」と名はつきますが軟骨魚類に分類される「サメ」とは全く別物で、穏やかな性格の持ち主です。
漁師 竹内雄大さん
「最初見た時、大きいサバだなと思って。びっくりしましたね」
その姿に一瞬サバと勘違いしてしまったのは、このチョウザメを引きあげた漁師、竹内雄大さん。 3月1日、フナの刺網漁に使った網に引っかかっているのを発見しました。
漁師 竹内雄大さん
「なんかうちであがった時よりは広々しとるんで元気そう。こんな泳げるんだなって関心しているところです」
その後、ゴビウスは専門家に確認を依頼し、シロチョウザメと分かったそうです。 1か月ほどバックヤードにある水槽で飼育したところ体の傷がほぼ治ったため、展示に至りました。
来館者は
「いないですよね普通」
「サメさんびっくりだね。サメがいるよ」
来館者もびっくりのシロチョウザメ。一体、どこからやってきたのでしょうか。
宍道湖自然館ゴビウス 寺岡誠二さん
「北半球の冷たい場所に暮らしていて、シロチョウザメは北米あたりです。自然の分布ではないです」
元々、北米大陸の太平洋側に生息するため、宍道湖に泳いで渡ってきた可能性は限りなくゼロに近い一方で…
宍道湖自然館ゴビウス 寺岡誠二さん
「アリゲーターガーは体が変形してますよね。狭いところで飼っているとこうなっちゃう。いかにも狭い所で飼われていたらもっと変形すると思うが、多少こぶがあったりとか、人に飼われたような感じもします」
Q誰かが逃がした?「可能性はあると思います」
チョウザメは幼魚が観賞魚として出回る魚です。 今回、ゴビウスに持ち込まれた個体はすぐにエサを食べたことなどから、飼育されていた個体である可能性もあるということです。
宍道湖自然館ゴビウス 寺岡誠二さん
「実はジュラ紀から姿・形変えずに現代まで続いている、古代魚中の古代魚なんですよね。自然のものかどうかも同時に考えて、色んな思いを持ってみていただければと思います」
ゴビウスなどいくつかの県立の施設では、5月11日まで主に中学生以下を対象に無料開放を実施中。今年のゴールデンウィークは近場で、自然環境について考えてみるのはどうでしょうか。