京都市の鴨川流域などに生息する国の特別天然記念物オオサンショウウオを保護するため、京都市が2025年度から対策強化に乗り出す。マイクロチップ装着による固有種の個体管理などを進める一方、生態系に影響を与える恐れがあるとして国が「特定外来生物」に指定した外来種や交雑個体の繁殖を抑制し、在来種の回復を目指す。
オオサンショウウオは世界最大の両生類で、3千万年前からほとんど姿が変わっていないことから“生きた化石”とも呼ばれる。市内の河川に広く分布しているが、1970年代に食用などとして持ち込まれて野生化した中国原産のチュウゴクオオサンショウウオとの交雑が進み、在来種は激減。市の調査では、捕獲された個体群の9割超を交雑個体が占める河川も出てきている。
外来種と交雑個体については、全国でも同じ問題が起きており、環境省は昨夏、特定外来生物に指定し、野外への放出や飼育などは原則禁止となった。これを受け、市は2025年度一般会計当初予算案に関連する事業費550万円を計上。在来種の個体群が残存するエリアで捕獲調査し、見つかった在来種にはマイクロチップを埋め込んで個体の識別・管理を強化して川などへ戻す。一方、外来種と交雑個体は戻さずに隔離し、大学での研究などに活用するという。
文化財保護課は「生き残った在来種を確実に守り、生息域や個体数を拡大させたい」としている。
万一、市民が陸上でオオサンショウウオを発見した場合はどう対応すべきか。同課によると、在来種とそれ以外を外見で見分けるのは難しい。誤って在来種を捕らえたり、殺処分したりすると、関連法に違反する可能性もある。同課は「これまで通り、市へ情報提供してほしい」と呼びかけている。075(222)3130。