淀川のシンボルフィッシュ・イタセンパラ、昨年調査で確認できず 一時繁殖も阻む外来種

 淀川下流に位置し、希少な魚などが生息するワンド群(大阪市旭区)に、国の天然記念物で絶滅危惧種の淡水魚「イタセンパラ」が令和5年の調査で確認できなかったと、大阪府立環境農林水産総合研究所生物多様性センター(大阪府寝屋川市)が1日発表した。

 イタセンパラは日本固有のコイ科の淡水魚。大型のタナゴ類で、産卵期のオスが鮮やかな赤紫色になり、メスは二枚貝の中に卵を産み付ける。富山県と濃尾平野の諸水系、淀川水系にだけ生息し、寿命は個体差があるが、1年程度という。

 同センターによると、自然繁殖を目指して平成25年に成魚500匹を放流。30年には2万匹超が確認された。令和4年に80匹まで減少しつつ、稚魚や成魚が毎年確認されていたという。

 今回確認できなかった原因を、同センターは外来種のオオクチバスやブルーギルによる捕食▽外来種で大型ネズミのヌートリアによる二枚貝の食害▽河川改修やワンドへの冠水頻度の低下(水が滞留し、酸素濃度が低下)-とみている。

 中でもここ数年は急激に減少。同センターの山本義彦主任研究員は「新型コロナウイルス禍に伴う外出制限により、イタセンパラを捕食する外来種を駆除できる機会が限られた」とした上で、今後イタセンパラの生息地再生を目指す「イタセンネット」などと外来種の駆除を積極的に行う。山本氏は「イタセンパラは淀川水系の生物多様性のバロメーター。生息する淀川を取り戻したい」と話す。

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