ニジマス釣り場、再開を断念 岐阜市の長良川、残った魚回収開始

 岐阜市湊町の長良川鵜飼の観覧船乗り場に期間限定で2月1日に開業した管理釣り場(釣り堀)から、ニジマスが大量に流出した問題で、開設した長良川漁業協同組合は2月29日までに、営業再開を断念する方針を県など関係機関に伝え、釣り場に残った魚の回収を始めた。

 同漁協によると、事前放流と追加分を合わせて1900キロ分(1万1600匹)の養殖ニジマスを入れていたが、2月19日に増水で囲いが崩れたり仕切り網が壊れたりして、約3000匹(推計値)が流出した。29日は漁協組合員や運営委託先の会社関係者ら十数人が網で囲い込み、残った魚のうち3分の1程度を回収したとしている。

 ニジマスは今年1月から長良川漁協の漁業権魚種になり、観覧船乗り場が特定釣り漁場に設定された。3月末まで営業する予定だったが、増水に伴う大量流出を受けて2月20日から休業していた。

 取材に対し、玉田和浩組合長は「世界農業遺産の清流長良川の鮎を守るため、川に注目してもらおうと始めたことが、あだになった。鮎に影響はないが、外来種というと一緒にとらえられてしまい、誤解を招くのでやめた。反省すべきは反省したい」と述べた。来年以降の管理釣り場の開設は「やらん」と撤退を明言した。

 ニジマスは北米原産のサケ科の魚で、明治期に移入されて釣り堀などで産業利用され、長良川漁協を含む県内22漁協で漁業権魚種になっている。一方で、魚食性が強く、水域によっては在来種の繁殖を阻害する懸念もあることから、2015年、環境省と農林水産省は「産業管理外来種」に分類し、これ以上の分布を拡大しないよう逸出防止などの対策を求めている。

+Yahoo!ニュース-地域-岐阜新聞Web