鹿児島県薩摩川内市寄田町の小比良池で、絶滅危惧種のオニバスが花を咲かせた。近年は外来種の繁殖で開花が確認されていなかったが、ボランティアらが除去作業を実施してきた。専門家は「希少な植物を守ろうと努力してきた成果」と話す。
オニバスはスイレン科の一年草。26日朝、確認できただけで13株のオニバスが大きいもので直径約1メートルの葉を広げていた。一部の株の間には、直径数センチの薄紫色をした花が見られた。市としては13年ぶりに開花を確認できたという。
同池はオニバス自生地として県の天然記念物に指定されているが、外来種のホテイアオイが増殖してオニバスの生育を妨げていた。
鹿児島大学非常勤講師の寺田仁志さん(70)=植生学=によると、主な開花時期は9月ごろ。オニバスが水面に出ない年もあったといい、地元企業や住民がホテイアオイを取り除く作業を実施。市も2021年に大規模な除去を行った。寺田さんは「自然の豊かさに気付ける特殊な植物。継続的な活動が大切」と話した。