徳島県立博物館は20日、牟岐町内妻の内妻川下流域で昨年8月に国内3例目となるヨウジウオ科の希少魚ホシイッセンヨウジが発見されたと発表した。徳島市南島田4の会社員庄野耕生さん(32)が撮影、捕獲した。
ホシイッセンヨウジは、環境省のレッドデータブックで絶滅危惧IA類に指定されている。主に南半球に生息するとされ、北半球では沖縄県の西表島と鹿児島県の奄美大島でしか発見例がなかった。近縁種のイッセンヨウジと同様に淡水域で産卵し、幼魚は海水で育つとみられる。
博物館によると、捕獲された個体は体長9・3センチで雌雄は不明。背びれを支える骨の数などからホシイッセンヨウジと特定した。特徴である黒い星の模様が体の側面になく、当初はイッセンヨウジと見ていた。
水中撮影を趣味にしている庄野さんは「イッセンヨウジと思って捕獲したが、ホシイッセンヨウジと聞かされ衝撃を受けた」。博物館の井藤大樹学芸員は「温暖化で生息域が北上しているのだろう。まさか県内で見られると思わず、驚いている」と話した。
ホシイッセンヨウジは標本化され、同館の常設展示室で2月14日まで展示している。