堀が真っ赤に アカウキクサが繁茂 特定外来とみて市が駆除へ 鳥が運んだ?/兵庫・丹波篠山市

 兵庫県丹波篠山市北新町の国史跡・篠山城跡の堀にシダ類の「アカウキクサ」が発生し、一部の堀では一面が真っ赤に染まっている。アカウキクサには在来、外来があるが、ほとんどの場合は外来。さらに特定外来生物に指定されている種類は、拡大を防ぐ観点から法律上、「移動させてはならない」などの禁止事項がある。市は堀のアカウキクサは特定外来の可能性もあると判断。現在、取水口にネットを張るなどして拡大を防ぐ処置をしており、年明けにも駆除作業を開始する。

 篠山城跡では、南馬出の堀がほぼ100%アカウキクサに覆われているほか、南堀、東堀にも発生。カモなどの水鳥が赤い水面を進むと、通り道ができるほどだ。

 秋に一部で確認されていたが、その後、急激に増加した。ただ、寒くなるにつれて少しずつ減っており、枯れ始めている可能性もある。

 アカウキクサは、田んぼなどにも発生する。稲の成長自体に大きな害はないとされるが、風で流れて大きな固まりになると、植えたばかりの苗を倒してしまうこともあるほか、旺盛な繁殖力で近隣の田に拡大することや、水生生物への悪影響などが考えられる。景観上も赤い田は好ましくない。

 また、アカウキクサの中でも特定外来生物に指定されている種類「アゾラ・クリスタータ」(アメリカオオアカウキクサ)は、法律上、運搬や栽培、野外に放つことなどが禁止されている。

 トラクターなどに付着して拡散することが知られているため、繁茂している田で作業した場合、移動する前に除去しなければならず、農家にとっては大きな手間となる。このため、作業受託や賃借が敬遠される原因にもつながる。

 今回、堀に発生した原因について、市は「水鳥の足に付着していた」「どこかの用水から流れ込んだ」などと推測。交雑種などもあり、アゾラかどうかは不明だが、いずれにしても拡大する恐れがあるため、特定外来とみなして、拡大を防ぐ処置を施し、駆除作業を行うために環境省に届け出た。試験的な駆除を行ったり、堀の水を農業に使っている人々に周知するなど、駆除に向けた手続きを進めている。

 有効な農薬もあるが、堀は農地ではない上、魚など他の生物への影響も考慮し、駆除作業は手作業となる見込み。田代優秋・市農都環境政策官は、「水路を通じて川に入った場合は、一気に下流に広がる恐れもある。最上流域のまちとして、拡大はなんとしても避けたい」としている。

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