交尾迫るメス、定説覆った ザリガニ繁殖を解き明かした高校生の研究

 高校生・高専生が自由研究の成果を競うコンテスト「JSEC(ジェイセック)2022(第20回高校生・高専生科学技術チャレンジ)」の最終審査会が10、11日、東京・お台場の日本科学未来館で開かれた。全国166校の617人から、過去最多となる339研究の応募があり、最終審査会には高く評価された30研究が出場、研究を発表して競った。上位入賞した研究は、来年5月に米国・ダラスで開かれる国際学生科学技術フェア(ISEF〈アイセフ〉)に日本代表として挑む。JSECの最終審査会は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で20、21年ともオンラインで開催されたが、今回は3年ぶりに多くの学生がリアルで交流した。

■朝日新聞社賞の森香南子さん=早稲田大本庄高等学院2年

 繁殖能力が高く、外来種として厄介者扱いされているアメリカザリガニ。これまでオスから交尾を迫るのが一般的とされてきたが、メスから迫る例があることを突き止め、4年がかりで詳細に解析してきた。

 アメリカザリガニを小学生のときから飼っている森さん。「つぶらな瞳が可愛い。癒やしをくれるし、家族も同然」の存在だ。自宅には、飼育中に増えた100匹ほどのザリガニがいる。

 研究のきっかけは、別の実験をしていた中学生のとき、脱走したメスがオスのいる水槽に入り、交尾するまでの一部始終を目撃したことだった。

 その後、「定説」を覆すこの行動が偶然ではなく、再現性が高いことを実験で確認。高校でも、水に含まれる尿の影響など、様々な角度から探究を続けてきた。

 今回の研究では、埼玉県内で釣ったオスとメスを1匹ずつ、土に埋めた隣り合う水槽に入れて5日間の行動を観察した。16組で実験した結果、メスが自分の水槽からオスの水槽に移動した例は複数あり、オスが最終的に交尾を主導した場合でも、交尾までの間にメスが積極的な場面が少なくないことが分かった。

 高校では河川研究班の一員でもある森さん。「メスからの繁殖行動が繁殖能力の高さにつながっている可能性もある。生態をもっと知ることで、河川の保全などにも生かせれば」と話す。(竹石涼子)

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