農業に深刻被害 外来水草95%超駆除も「油断禁物」 住民ら、根絶へ刈り取り作業 淡路・本田池

 兵庫県洲本市五色町都志米山の本田池(約1500平方メートル)で、農業などに深刻な被害を及ぼす外来水草ナガエツルノゲイトウの駆除が終盤に入った。今月3~6日の4日間、ボランティアを含む延べ約90人が刈り取り作業をした。2年前に見つかり、池全体に広がっていた。駆除は955%以上進んだが、住民グループは「根絶の確認まで時間がかかる。近くの水田でも見つかり、油断できない」とする。(荻野俊太郎)

 ナガエツルノゲイトウは南米原産の多年草。繁殖力が強く、刈り残した長さ数ミリの根から再生することもある。広がると水路をせき止めて水害の原因になり、稲の成長を妨げる。  淡路島内では2020年、本田池で初確認。下流の大久保池でも繁殖が判明した。「淡路米山ため池保全ネットワーク」の岡本賢三会長(61)は、「観葉植物として育てた人が捨てたか、釣り客が他の繁殖地で使った道具を洗わず持ち込んだか」と指摘する。

 昨春、本田池の駆除を開始。今年2月、水を抜いた底に光合成を防ぐ遮光シートを張った。池全体の約3分の2にあたり、繁殖がほぼ止まった。

 しかし、水を抜ききれずにシートを張れなかった中央の3分の1部分で、繁殖は続いた。徹底して刈り取ろうと、4日間の作業を計画した。

 同ネットワークの呼びかけに、住民、環境保全の専門家、会社員、高校生、NPO法人国際ボランティア学生協会(本部東京都)に所属する大学生らが集まった。胴長で池に入り、絡み合った水草をかまで切り、浮いている草を手でたぐり寄せた。4日間で計約2100袋分を回収。乾燥させ、市が焼却処分する。

 2月の作業にも参加した洲本高校3年の福田久志さん(18)は、「引き寄せるのにかなり力が必要だった。生命力の強さを改めて感じた」と話した。  今回除去しきれなかった分の駆除を12月に予定し、今冬に終わる見通し。その後、再繁殖しないか1年以上かけてモニタリングする。今秋、新たに見つかった近くの水田と合わせ、調査と監視は続く。

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