そのドジョウ、在来? そっくりな「大陸系」知らぬ間に置き換わり

 「外来種」はカミツキガメやアライグマなど、見た目ですぐわかるものだけではない。日本人が親しんできた淡水魚のドジョウ(マドジョウ)の生息状況をよく調べてみたら、そっくりの大陸産ドジョウに、いつの間にやら置き換わっていた。そんなことが、関東や近畿地方で、すでに起きてしまっているという。

 ドジョウは日本のほか、朝鮮半島や中国、ベトナム、台湾などに分布する。北海道や本州東部の比較的寒い地域には、より冷たい水を好む「キタドジョウ」がいるが、これはドジョウとは別の種だ。大昔、大陸と日本が地続きでなくなってから、それぞれが独自に進化。今のところ、大陸系と日本在来のドジョウは同じ種とされているが、遺伝的にははっきりと違いがある。

 大陸系ドジョウが国内に入ってきていることは、農業・食品産業技術総合研究機構(茨城県つくば市)による2009年の研究で判明した。

 大阪市立自然史博物館と福岡県保健環境研究所は18、19の両年、大阪府内で採集したドジョウ77匹を調査。遺伝子を調べると、このうち在来ドジョウは16匹だけだった。一方で大陸系のドジョウは58匹と多数派を占めた。淀川水系や大和川水系など6水系に広く分布。大陸系と在来が交雑した個体も3匹いた。

 博物館が保管していたドジョウの標本も調べた。1959~99年に府内で採集された21匹はすべて在来だったのに対し、2001~13年の56匹では、在来は26匹で、残る30匹は大陸系だったという。こうした結果を論文にまとめて20年に発表した。

 大陸系ドジョウは、関東でも広がっている。

 研究に参加した福岡県保健環境研究所の中島淳・専門研究員によると、関東地方でも平野部のドジョウは、ほとんどが大陸系だという。関東では柳川鍋などにしてドジョウを食べる文化が根付いている。スーパーなどで輸入ものの生きた個体を買った人があちこちに放流し、広まった可能性があると中島さんは見る。

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