琵琶湖のアメリカナマズ、堰全開放流で遡上か 成魚14匹捕獲

 滋賀県水産試験場は琵琶湖と瀬田川での特定外来生物アメリカナマズ(チャネルキャットフィッシュ)の2021年度の捕獲状況を明らかにした。6月までの定期調査では、瀬田川洗堰(あらいぜき)上流から琵琶湖にかけての捕獲数はゼロだったが、7月から確認された。体長40~50センチの成魚もおり、同試験場の石崎大介主査は「瀬田川洗堰の全開放流に伴い、成魚が洗堰下流から上流に遡上(そじょう)した可能性がある」と指摘。洗堰下流域での成魚の駆除が琵琶湖でのアメリカナマズ繁殖抑制の鍵になるとしている。【庭田学】

 試験場による洗堰上流での定期調査では、20年11月の1匹捕獲以降、21年6月までアメリカナマズが捕獲されなかったが、7月から捕獲され始めた。21年度の捕獲総数は235匹と、232匹だった前年度並みで、洗堰下流が145匹を占めた。洗堰上流の瀬田川は69匹(前年度53匹)、琵琶湖南湖は21匹(同9匹)だった。

 水に含まれる生物の痕跡を調べる「環境DNA」分析では、洗堰上流で捕獲されなかった時期にもアメリカナマズのDNAが検出されており、石崎主査は「繁殖抑制はできているが、根絶には至っていない」と話す。

 洗堰上流と南湖での成魚は前年度と同じ14匹だった。7月8~11日の洗堰全開放流時の琵琶湖水位はマイナス18~同9センチと比較的低かったため、流れが緩やかでアメリカナマズの成魚が洗堰を越えやすかったと石崎主査は推測している。

 成魚の産卵期は5~8月ごろとされる。11月に洗堰上流で捕獲された雌の成魚の体内には卵が残っており、石崎主査は「雄に会えず、産卵できなかった可能性がある」と述べ、駆除による繁殖抑制の効果が出ているとしている。

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