「これでは生活できひん」アユの水揚げ例年の3分の1…水位低下続く『琵琶湖』の危機

 「近畿の水がめ」と呼ばれる琵琶湖が雨不足の影響で水位が低下しています。1992年~2020年の平均と比べると、12月1日の朝は水位が66cmも低下していました。水位低下の影響は漁業や“あの食べ物”にも出てきています。

 雨不足の影響で水位が通常時よりも66cm下がった琵琶湖。湖に沈んでいた幻の「坂本城の石垣」も露わになっています。

 そんな中、12月1日に琵琶湖全域で解禁となったのが「アユ漁」です。水位低下の影響はどのくらい出ているのでしょうか。初漁に同行してみました。到着したのは琵琶湖の伝統的な定置網「エリ」の前。2か月前に設置したということなのですが引き上げてみると…。

 (漁師)  
「(Qたくさん入っていますか?)入っていないですね…。あかんな」

 本来であれば、この時期にはアユの稚魚「氷魚」が網いっぱいにかかるはずなのですが、獲れたのは網の底に少し見えるだけ。一体なぜなのでしょうか。

 (守山漁協 遠藤満夫組合長)  
「魚の習性として、引水、水が引いていくという状況のときは魚はおらへんねん。おっても動かへんというか。水が増えていくときは、アユに限らずなんでも大漁が期待できるんやけどな」


 水位が下がるとアユが移動しなくなることから定置網にかかる量が減ったとみられていて、12月1日朝の水揚げは約50kg、例年の3分の1程度でした。

 (守山漁協 遠藤満夫組合長)
 「(Q雨不足が続いたら?)そんな夢のない想像させんといて。これでは生活できひん。期待外れやわな。この日のために2か月も前からずっと準備してきたのに…」

 さらに滋賀が誇る“あの食べ物”への影響も懸念されています。琵琶湖で獲れる鮒とお米を漬け込んだ滋賀の郷土料理「鮒ずし」です。創業約100年という老舗「しづか桜」の鮒ずしのお味は…。

 (記者リポート)  
「ほのかに酸味があって、塩辛さもちょうど良くて、おいしいです」

 鮒ずしは1年以上漬け込むため、去年仕込まれた今年の鮒ずしには影響はありませんが、1月から来年以降の仕込みに使う鮒の漁が始まるため、不安が募ります。

 (しづか桜 源谷桂子女将)  
「漁に影響がないかな…と。影響が出ますと、来年の鮒ずしに影響が出ますので。来年のことが心配ですね」

 そもそも鮒の漁獲量自体が減少傾向にあるため、「水位の低下」によるダブルパンチになるのではないかと心配しています。

 (しづか桜 源谷桂子女将)  
「(水位低下で))鮒たちも産卵とかの場所に困るんじゃないかなと勝手に思っているんですけれども。早く水位が上がってくれと願うばかりでございます」

 1日1cmのペースで低下している琵琶湖の水位。恵みの雨はいつ降るのでしょうか。

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