釣り人 来てほしいけど… 新型コロナで群馬県内漁協 感染防止へ対応苦慮 放流情報を非公開に

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言を受け、群馬県内の漁業協同組合が夏にかけて行う魚の放流への対応に苦慮している。釣り人の集中を避けるため詳しい情報を非公開とし、集客を伴う恒例の放流イベントも軒並み中止に。水産資源管理のため放流自体は続けるが、漁業振興に向けたPRができないジレンマを抱えている。


◎渓流釣りシーズン 「消毒を」呼び掛け
 「隣の人との間隔を保ち密集・密接を避ける」―。群馬漁業協同組合(前橋市)は密集を避けることやマスク着用を呼び掛ける張り紙を利根川や桃ノ木川に掲示した。イワナやヤマメ、アユの放流を行う時期を迎えているものの、ブログなどでの日時や場所の情報発信は控えている。5月に予定していた釣りイベントも中止した。
 ほかにもホームページや会員制交流サイト(SNS)上で放流日時や場所を公開していない漁協は多い。上州漁業協同組合(高崎市)の担当者は「県外からのレジャー客が多く、放流地点についての問い合わせも多数あるが、一切教えていない」と話した。
 情報は非公開とした上で放流自体は5月中の実施を予定している。外部から放流自体をやめるよう求める声もあるが、「水産資源の増殖のため続けていきたい」と理解を求めている。
 利根漁業協同組合(沼田市)は子ども向けのイベントを中止とした。組合長の生方一雄さん(76)は「色々と中止になってしまって残念。先行きが見えないことが何より不安だ」と気持ちを打ち明けた。
 群馬県漁業協同組合連合会は「各組合が感染拡大防止のために取り組んでいる対策に理解を示してほしい」と訴える。群馬県蚕糸園芸課は「渓流釣りのシーズンだが、人との距離を保ってマスクや手洗い、消毒を心掛けてほしい」と注意を呼び掛けている。
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