希少動植物保護へ連携組織 長野県松本市の自然保護団体などが22日に設立

 長野県松本市の自然保護団体や研究者が希少動植物の情報を共有する連携組織が、22日に設立される。標高差が大きく自然環境の変化に富む松本市域は希少動植物の宝庫として知られるが、近年の開発や気候変動、外来種に生息地を侵食されるなどの影響で急速に数を減らしている。まずは現状を把握した上で、希少動植物の保全活動につなげる。

 昨年11月、希少動植物の現状に危機感を持った自然保護団体や研究者が松本市内でシンポジウムを開いたことが契機となり、波田希少動植物保存会代表の清沢るり子さん(71)が連携を呼び掛けた。22日に開く懇談会で、連携組織を正式に発足する。信州野鳥の会や松本むしの会、信州ビオトープの会など約10団体が参加する。

 松本市では生物多様性の保全を目指す指針となる「生物多様性地域戦略」が策定されて10年になるが、絶滅の恐れがある動植物や重要な自然環境の情報をまとめた「市版レッドデータブック」は存在していない。安曇野市や塩尻市、長野市は作成しており、松本市に必要か、作成や活用が可能かどうかを検討していく。

 松本市も活動に協力する方針で、環境・地域エネルギー課環境政策担当の金井悠一郎さんは「自然保護団体が持つ情報をどう利用していくか、一緒になって考えていきたい」と話す。

 生物多様性がみられる地域は、環境の変化で多くの動植物が絶滅の危機にひんする「ホットスポット」になる危険性がある。清沢代表は「まずは現状認識の共有から始めたい。多くの市民に関心を持ってもらい、保全活動を展開する」と話している。

 懇談会は午前9時半から松本市県3の市あがたの森文化会館で開く。参加自由で、事前の申し込みは必要ない。

+Yahoo!ニュース-地域-市民タイムスWEB