世界最強と恐れられるオオスズメバチを根絶したと、アメリカが宣言しました。ハチに小型発信器を付けて、巣を徹底的に洗い出す手法が成功しました。
■「殺人スズメバチ」官民一体の根絶作戦
まるで爆弾処理のような物々しい雰囲気。白い防護服を身にまとった作業員が10人がかりで駆除しているのは、日本でもおなじみのオオスズメバチです。
今月18日、アメリカの連邦政府機関は次のように宣言しました。
ワシントン州農業局
デレク・サンディソン局長
「勝利宣言です!私たちはワシントン州でオオスズメバチを完全に根絶しました。この作戦に関わった人々全員の勝利ともいえるでしょう」
オオスズメバチがアメリカで初めて確認されたのは、およそ5年前。攻撃性が高く強い毒性を持つため、「殺人スズメバチ」とも呼ばれています。
ミツバチの巣を襲撃し、わずか90分で全滅させることから、養蜂業や農業に深刻な脅威があるとして警戒されていました。
日本では何百年もオオスズメバチと共存してきましたが、天敵がいないアメリカでは「侵略的外来種」として恐れられるようになりました。
そこで、アメリカでは、官民一体となった根絶作戦を実行しました。
■2021年以降目撃報告なし 根絶できた理由は?
まずは、活動範囲を調査するため、オオスズメバチを生きたまま捕獲。デンタルフロスの糸で発信器を結び付けると、そのまま放って巣の場所を特定します。
続いて、厳重な防護服に身を包んだ駆除部隊が登場。木の中にある巣をライトで照らしながら、強力な掃除機で一気に吸い取ります。
攻撃は、これだけで終わりません。
木に二酸化炭素を注入して、残っているハチを徹底的に駆除。食品用ラップのようなもので木を包み、出口も封鎖。その一部に穴を開け、泡や二酸化炭素を注入します。
再び穴をふさいで逃げ道をふさぎ、一匹残らず捕獲。こうした徹底的な根絶作戦のかいがあり、2021年以降、オオスズメバチの報告は一度もないといいます。
専門家は、このスピード感があったからこそ根絶できたと指摘します。
玉川大学 小野正人教授
「外来生物の場合は天敵がいないということが考えられる。そうすると、増える速度が非常に速くなる。今回のオオスズメバチの根絶は、初動対応が良かったと思います。様子見にしてしまっていたら、手遅れになってしまったかもしれない」
(「グッド!モーニング」2024年12月26日放送分より)