オオサンショウウオの交雑種、生息域外で確認…何者かが放流した疑い「『遺伝子汚染』が進む可能性」

 オオサンショウウオの生息が確認されていない滋賀県東部の犬上川で、外来種と日本固有種との交雑個体1匹が8月に確認された。交雑種が飼育や移動を禁じる「特定外来生物」に指定された7月以降、生息域外で見つかるのは県内で初めて。専門家は何者かが放流した可能性があるとして、「在来種との『遺伝子汚染』が進む可能性があるので、やめてほしい」と注意を呼びかけている。

 オオサンショウウオは日本の在来種で、岐阜県以西に生息。外来種のチュウゴクオオサンショウウオは50年以上前に食用として輸入され、固有種との交雑が滋賀、広島、京都など各地で確認され、課題となっている。在来種は国の特別天然記念物で、文化財保護法によって捕獲や飼育が禁じられている。一方、外来種と交雑種は7月に「特定外来生物」となり、許可のない飼育や移動が禁じられた。

 今回、交雑個体を捕獲した県立琵琶湖博物館によると、7月10日以降、犬上川でオオサンショウウオの目撃通報が同館や自治体に相次いで寄せられた。8月10日に交雑種の保管などが認められている同館職員と、文化庁から在来種の捕獲許可を受けている「滋賀のオオサンショウウオを守る会」の水戸直さんが連携して捕獲。長浜バイオ大の斉藤修教授がDNA分析したところ、交雑種とわかった。

 捕獲した個体は全長約1・3メートル、体重約17キロで、今後は標本になり、研究に役立てられるという。

 同館の金尾滋史専門学芸員(水族繁殖学)は「野外でオオサンショウウオを見かけても触ったり、捕獲したりせず、自治体や専門機関に連絡してほしい」と話している。

+Yahoo!ニュース-ライフ-読売新聞オンライン