「荒廃地の自然再生」民間活動を国認定 新法案を閣議決定

 政府は5日、荒廃地の自然を回復させる民間の活動を認定する新制度を盛り込んだ「地域生物多様性増進活動促進法案」を閣議決定した。今国会で成立させ、2025年4月の施行を目指す。認定を通じて、民間による自然再生活動を後押しするのが狙い。

 法案によると、生物多様性を回復させようという民間の活動を「増進活動実施計画」として認定する。対象となる活動は生態系や人の暮らしを脅かす「侵略的外来種」対策などを想定しており、環境省は認定基準を年末までに策定する。また、認定活動に対する寄付をした企業や団体に証明書を発行するなど、間接的に自然再生に貢献することを促す制度も検討する。

 環境省は23年4月、企業やNPOなど民間の取り組みで豊かな自然が守られている土地を「自然共生サイト」として認定する制度を開始し、今年度は185カ所を選定。だが、再生の途上にある土地は対象外だった。

 伊藤信太郎環境相は5日の閣議後の記者会見で、法案について「現在の生物の多様性を保全するだけでなく、失われた生物多様性の回復・創出も重要になるのを踏まえた」と述べた。

 22年12月採択された生物多様性の国際目標「昆明・モントリオール目標」では、30年までに陸と海のそれぞれ30%以上を保全し、劣化した生態系を30%以上再生させることを目指している。日本は23年3月、同じ数値目標を盛り込んだ国家戦略を閣議決定している。【岡田英】

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