管理釣り場のニジマス、長良川に流出 増水で囲い土砂流され、遡上鮎への影響懸念

 岐阜市の長良川鵜飼の観覧船乗り場近くの管理釣り場が、増水で囲いの土砂が流されるなどの被害を受けていたことが22日、分かった。今月1日、期間限定で開業したばかりで、放されていた産業管理外来種のニジマスの多くが本川に流れ出たとみられる。国土交通省木曽川上流河川事務所長良川第一出張所は、事態の報告を求める行政指導をした。

 管理釣り場は長良川漁業協同組合(岐阜市)が開設し、市内の釣り具メーカーに運営を委託していた。関係者によると、19日夕、雨による増水が囲いの下流側の土砂盛りを乗り越えた。同日午後4時の長良の観測点の水位は15・45メートル(暫定値)で、平水より1メートル以上高かった。水位はさらに上がり、仕切り網も破損した。

 長良川第一出張所は21日、占用許可申請の際に提出された出水時の撤去計画にも関わらず、網の撤去が間に合っていなかったことから、漁協に対し経緯報告や再発防止策を求めた。

 管理釣り場は約3千平方メートルあり、開業前と週1回の追加分を含め計1900キロ(約1万9千匹)を放していた。漁業関係者は状況から「9割以上が流れ出たのではないか」という。

 ニジマスは産業利用の一方で侵略性のある外来種で、これ以上分布域を拡大しないよう国から対策が求められている。

 釣り場は20日から休業している。取材に対し、玉田和浩組合長は「2月にこれだけの雨は想定外で、魚は動かしようにない。対応して人命を失ってはえらいことだ」と理解を求めた。

 岐阜大地域科学部の向井貴彦教授(保全生態学)は「ニジマスは魚食性が強い魚で、これから遡上(そじょう)する鮎に悪影響が出ることが考えられる。長良川の歴史、伝統、自然を大事にするならば、釣り堀ではなく別のやり方がいいのではないか」と話した。

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