コクチバス発見のため池で水抜き駆除 餌の魚も発見、密放流か 岐阜・郡上市

 長良川の鮎への脅威が見込まれる肉食性の特定外来生物「コクチバス」が木曽三川で相次いで見つかっている問題で、岐阜県郡上市白鳥町中西の「西坂ため池」で3日、全ての水を抜いて駆除する「かい掘り」が行われた。今年5月に本流で生息が確認されて以降では初の実施。餌として一緒に放たれたとみられるワカサギ17匹も新たに見つかり、密放流者の計画性が浮き彫りになった。

 西坂ため池は最大貯水量9万8千立方メートルの農業用で、今年7月に匿名の通報で生息が発覚した。用水路と支流を通じて3キロ先の長良川につながっており、農閑期を待ってかい掘りに踏み切った。

 先月18日から水抜きを始めた約2ヘクタールの池は、高さ13メートルあった水位がほぼ干上がり底が見えた状態に。たまった魚を網で捕らえ、ポンプで残り水を排出した。

 魚の内訳は、上流域の在来種がタカハヤ20匹、カワムツ4匹にとどまった一方で、コクチバスは体長42センチの成魚を含む74匹が見つかった。7月以降にこの池で駆除された総数は673匹に達し、うち4歳以上が16匹で、これを親魚として昨年と今春で一気に増殖したとみられる。「2年で池が占拠される状況に追い込まれるのに驚いた」と県水産振興室の桑田知宣室長。

 一緒に見つかった国内外来種のワカサギは、雪深い白鳥の気候に合わせ、密放流したとみられる。「餌になる魚を一緒に放つのが常とう手段。水温が低いところで育つワカサギを選んでおり、(密放流者は)かなり知識のある者だろう」と推測した。

 作業は漁業組合関係者、県と市の職員ら約60人が参加。立ち会った白滝治郎郡上漁協組合長によると、今夏の友釣りや網漁の解禁後も長良川での捕獲の報告はない。「川で増えている段階ではないが、もし出たらすぐに駆除できる態勢を取りたい」と話した。

 県は長良川流域のため池やダム湖など止水域の173カ所で調査を進めており、すでに見つかっている美濃市の天池でもかい掘りを実施する予定。

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