“カエル先生”として知られている長崎女子短大(長崎市弥生町)の松尾公則教授(72)らが五島列島に生息するカエルを新種と確認した。「ゴトウタゴガエル」(和名)として8月に日本爬虫両棲(はちゅうりょうせい)類学会の学会誌に論文が掲載された。
北九州市立いのちのたび博物館学芸員の江頭幸士郎氏との共同研究。世界共通の学名は発見者にちなみ「Rana matsuoi Eto et Matsui, 2023」と付けられた。福江、奈留、若松、中通、野崎の五つの島で生息を確認。長崎県内生息のカエルは14種になったという。
ゴトウタゴガエルは長年、長崎県内をはじめ全国に分布するタゴガエルと思われていたという。2種の違いについて松尾氏は「タゴガエルは春先に産卵するが、(新種は)秋にも卵を産む。鳴き声も全然違う」と説明。江頭氏の調査でDNAも明らかに違うことが確認された。
新上五島町の江濱幸一さん(故人)から「秋にオタマジャクシがいる」と聞き、調査のため2003年11月に中通島に渡った松尾氏。10年3月の高校教諭退職をきっかけに研究が本格化し、五島列島に数十回足を運んだ。カエルの研究を始めて約半世紀のカエル先生は「自分の名前が学名に付くなんて感慨深い。世界で五島列島にしかいないカエル。地元で愛される存在になってほしい」と語った。