「バラ色」の希少淡水魚、根絶やしの危機 雑食性の外来生物が急増、稚魚を捕食 固有のニッポンバラタナゴ

 兵庫県芦屋市内の池をのぞくと亀やコイ、小さな魚の群れが見える。その中できらりと光るのが「ニッポンバラタナゴ」。その名の通り、鮮やかなバラのように赤い、日本固有の希少な淡水魚だ。しかし今、特定外来生物の「カダヤシ」に捕食され、根絶やしの危機にさらされている。(村上貴浩)

 県版レッドリストで絶滅の危機にひんし、緊急、厳重な保全対策が必要とされるAランクに指定されているニッポンバラタナゴ。県立人と自然の博物館(三田市弥生が丘6)の主任研究員高橋鉄美さん(52)によると、自然に生息しているのは九州の一部以外ではほとんどなく、非常に珍しいという。

 その数を減らしている主な原因がカダヤシ。環境省のホームページによると、北米原産で1916年ごろに蚊の幼虫を退治するため徳島県で繁殖が進められた。現在東北から沖縄にかけて広く分布している。

 姿はメダカに似ているが、雑食性でタナゴなどの稚魚を捕食してしまう。高橋さんによると、同じ生息域にカダヤシの天敵がほぼいないことから、数が増えたとみられるという。

 池で泳ぐ小さな魚の群れの多くはカダヤシだった。他にも姿が見えた多くの亀は、6月から条件付き特定外来生物に指定されている「アカミミガメ」ばかり。近くに住む男性は「数年前にはもっとニッポンバラタナゴを見ることができたし、メダカも生息していた」と話す。

 高橋さんは、この池のニッポンバラタナゴについても元々生息していた個体かは判別できないという。とはいえ、特定外来生物が固有種を淘汰(とうた)しつつある状況に「取り返しがつかなくなる。許可なく川や池などに生き物を放すことは、絶対にしないでほしい」と話した。

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