コクチバス駆除強化、密放流防止へ監視 買い取り制度で加速「長良川の鮎」推進協、岐阜

 世界農業遺産「清流長良川の鮎」推進協議会の長良川鮎資源管理部・増殖部会が21日、岐阜県議会棟であり、肉食性の特定外来生物「コクチバス」が5月に美濃市の長良川で初めて見つかったことを受け、駆除促進と密放流を防ぐパトロールの強化を決めた。岐阜大と県水産研究所が、成魚などは確認されなかったとする緊急調査の結果を報告し「コクチバスがいないわけではないが、多くはないと推測される」と説明した。部会では、駆除に取り組んでいくことを確認した。

 岐阜大地域環境変動適応研究センターの永山滋也特任助教が鮎の調査を応用し、採取した水から特定生物の有無や生息量の目安を知る環境DNA分析を行った。発見から約1週間後の5月29日に美濃市の美濃橋から岐阜市までの本川9地点で採取した水と、DNAが検出されやすい産卵期を選んで、過去の2021年5月26日と7月20日の既存のサンプルを調べたが、DNAは検出されなかった。永山氏は、産卵やふ化が長良川ではできないか、産卵やふ化をしても増えることができない要因がある可能性を示した。また、産卵期(5~7月)に出水があるとダメージを受け、増えることができないとも説明した。

 県水産研究所は産卵床を職員の目視とドローンで調査。美濃橋から岐阜市までの6地点を選定して調べ、産卵床、稚魚、成魚ともに確認されなかった。

 部会では、調査結果を踏まえ、今後の対応を協議。部会副会長の尾藤義昭長良川中央漁協組合長は「長良川は清流のシンボルである鮎の王国であるべきで、鮎を食べるコクチバスは“害来魚(がいらいぎょ)”。長良川にバスは許さない。見つかってすぐの今、徹底した対策が重要だ」と述べた。県と県漁連が本年度から始めたコクチバスの買い取り制度を釣り客にPRして駆除を加速することなどを確認した。

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