【徳之島】外来生物法改正で6月1日、アカミミガメとアメリカザリガニが「条件付特定外来生物」に指定される。アメリカザリガニについては「世界自然遺産の島」徳之島でも同登録前の2017年に初確認、駆除活動で定着阻止したとみられていた。ところが昨年末以降、自然保護団体が天城町内で再確認。5カ月間の駆除捕獲数が約2千匹と爆発的に増えていたことが判明。在来生物への影響など危機感を募らせ警鐘を鳴らしている。
日本の「侵略的外来種ワースト100」の1種のアメリカザリガニ。今や日本全国に定着するとされ、水生植物を消失させるなどして水生昆虫の局所的な絶滅を引き起こしていることなどが指摘されている。奄美群島の一つ徳之島でも17年夏、天城町の「徳之島ダム」上流域の三京地区の河川で、児童生徒らの「生き物観察会」のさなかに1匹を初確認。同島自然保護協議会の関係者らが緊急駆除捕獲を実施。環境行政機関などの追跡調査、捕獲作業、報告などはないが、定着は阻止されたとみられていた。
昨年末に再確認したのは同島の自然保護団体・NPO法人徳之島虹の会の関係者。世界自然遺産登録エリアに近い同町三京―西阿木名地区を夜間パトロール中に、道路を横断していた「まさか」のアメリカザリガニ1匹を発見した。事態を重視した自主ボランティア活動「緊急外来種対策」で近隣の河川やため池などを調査。生息確認に伴うこの5カ月間の捕獲駆除(冷凍保管)数はじつに約2千匹にも達していた。
虹の会の関係者は爆発的繁殖・定着の可能性を指摘。「ザリガニの繁殖活動は通常は年1回だが、気候が温暖な徳之島では2回の可能性も。在来種の水中生物たちを絶滅させてしまう危険性がある。生命力も非常に強い。世界自然遺産の島にとって極めて深刻。島外から持ち込んだペットや草花も、野山には絶対に捨てないでほしい」と警鐘を鳴らす。
ペットなどとして飼養者が多いアメリカザリガニとアカミミガメはこれまで、外来生物法第4条(飼育等の禁止)や同第8条(譲渡し等禁止)に関する規制の一部が適用除外されてきた。同2種は「特定外来生物による生態系等に係る被害防止に関する法律施行令の一部を改正する政令」の閣議決定(今年1月)により来月1日付で「条件付特定外来生物」に指定。飼育が困難になったからといって野外の池や川に放したり、逃がす行為(放出)などを行った場合は重い罰則・罰金が科されることもある。