福島県、生態系維持へ 緊急対策 外来種に18種 市町村と連携し優先防除

 福島県は生態系を乱す外来種による被害が深刻化しているのを受け、県内に生息している外来種を一覧する「ふくしまブルーリスト」を初めてまとめた。動植物約640種を掲載予定で、このうち自然環境への影響が大きい101種を「県侵略的外来種」に位置付けた。影響度合いに応じて4段階に分類し、最も深刻な「緊急対策外来種」には18種を指定した。対策の優先度を明確にすることで、市町村などと連携した効率的な駆除や被害の拡大防止につなげる。近く公表する。県民への周知と環境保全の意識醸成にも努め、県全体での防除体制を構築する。

■「ブルーリスト」作成

 「ブルーリスト」は、本来その地域に自然分布しておらず、国内外の他地域から人為的な影響などで侵入した外来種をまとめた一覧表を指す。絶滅危惧種に関する「レッドリスト」に対応して名付けられた。県内では福島市中心部にあったトチノキが外来種のツヤハダゴマダラカミキリの食害に遭った他、北米を原産地とするアライグマの捕獲頭数や目撃地域が数年間で倍増しており、農作物被害も確認されている。県内で外来種が年々多様化し、被害が増えている状況を踏まえ、福島県は防除体制の強化にあたって現状を一体的に把握できる資料が必要と判断。専門家らの調査を基に今年度からリスト作成に着手した。県内の自然環境に影響を与えやすい動植物を「県侵略的外来種」に指定し、影響度合いと対策の重要度の順に「緊急対策外来種」「重点対策外来種」「その他の総合対策外来種」「産業管理外来種」の4段階に分類した。区分の仕方は国の外来種リストを参考にしているが、該当種は被害状況などによって国と異なる場合もある。ツヤハダゴマダラカミキリは国のリストにはないが、県は被害が県内で拡大しつつあるとして、緊急対策外来種に位置付けた。国では重点対策のカテゴリーに入るウシガエルも、対応が急務として県内では最上位に分類した。全国的に対応に追われているアライグマは国、県とも緊急対策が必要としている。福島県は緊急対策外来種を優先し、市町村や外来種駆除団体と連携して本格的な対策に着手する。リストは生息状況を随時調査し、数年に一度、内容を見直す。外来種を安易に県内に持ち込んだり、捨てたりしないよう県民向けの理解醸成にも努める。リストを県ホームページで公開する他、県民生活の身近に生息している外来種の特徴や生息範囲、駆除のための対応策をまとめたパンフレットを作製し配布する。

 外来生物の問題などに携わる福島大共生システム理工学類生物環境コースの塘忠顕教授(昆虫学)は「リストを活用し、県民へ幅広く啓発することが重要。認知が広がれば外来種の繁殖拡大だけでなく侵入防止にもつながる」とし、福島県全体で県内の自然を守る重要性を強調する。

 外来種による被害は全国的な問題で、ブルーリストは北海道などで策定が進んでいる。東北6県では青森県に続き、福島県が2例目となる見通し。

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