環境省は16日、鹿児島県の奄美大島と徳之島に生息する国指定特別天然記念物アマミノクロウサギの2021年時点の生息数を推定3万9162~1万1549匹とする調査結果(速報値)を発表した。03年時点は推定最大5000匹だったが、クロウサギを補食するマングースや野生化した猫(ノネコ)の防除など外来種対策が進み、生息環境が改善したとみている。
06~21年度に確認されたクロウサギのふん量、カメラを使ったモニタリング、20、21年冬に一定の区域で行った動画カメラによる生息密度を基に調査。奄美大島で3万4427~1万24匹、徳之島4735~1525匹と推定した。環境省が奄美希少野生生物保護増殖検討会で報告した。
奄美大島に生息するマングースは00年から本格的な駆除が始まり18年を最後に確認されていない。ノネコは徳之島で14年、奄美大島で18年から同省や地元自治体が捕獲や避妊などの対策に乗り出した。
アマミノクロウサギは、環境省レッドリストで絶滅の危険性が高い「絶滅危惧ⅠB」に分類されている。検討会は24年3月までに、絶滅の危険が増している「絶滅危惧Ⅱ類」以下とするのを目指している。今回の推定数では既にこの要件を満たしているという。