淡路島の池で「地球上最悪」とも呼ばれる植物が繁殖し、農産物に悪影響を及ぼす恐れがでています。そこで、大規模な駆除作戦が行われました。
■淡路島の池に…水草が大量発生
淡路島にある洲本市。この街の池で今、ある異変が・・。
【記者リポート】 「見てください。池の中の一角だけ、明らかに異常な量の水草が生えているのが分かります」
浮き島のように密集して生えている水草。この異様な光景の正体は…。
【兵庫・水辺ネットワーク 大嶋範行さん】 「これが“ナガエ”。これは完全に浮いている状態」
南米原産の「ナガエツルノゲイトウ」。特定外来生物に指定されている水草で、「地球上で最悪の侵略的植物」とも呼ばれ、全国で拡大しています。
その理由は…。
【兵庫・水辺ネットワーク 大嶋範行さん】 「ここからこの部分だけこの断片が流れるだけで増える」
■農作物に悪影響の恐れが…駆除作戦
恐れられているのは、驚異的な繁殖力。茎のごく一部さえ残っていれば、すぐに増殖します。乾燥に強く陸地でも生息できるため、田んぼに入り込むと、稲を倒し、収穫が激減する恐れがあるというのです。
【池の近くの田んぼの持ち主】 「農業で生活しているものですから、収穫量が減るという情報がありますので、私たちにとっては一大事」
農業被害を防ごうと、この池ではボートを使って定期的に水草を駆除しています。しかし、関係者たちは駆除しても到底追いつかないといいます。
【兵庫・水辺ネットワーク 大嶋範行さん】 「1カ月で倍くらいになるイメージ。簡単に増える、成長力がすごくあるというのが、今までの水草の中で群を抜いている」
池の近くでナガエツルノゲイトウが確認された場所では、去年から光を100パーセント遮断できるシートを設置。光がないので、当然ほかの雑草はすべて消え去っていますが…。
【大嶋範行さん】 「これが芽です。葉は出ていないですけど、芽吹いている」
何と1年以上光を浴びなくても、まだ芽を出していました。
【大嶋範行さん】 「なかなか手ごわいということです。(放置したらどうなる?)ここからどんどん増えます。ゼロにしないとダメなんです。『99パーセントとったから成功しました』っていうのはないです。ナガエについては」
11月3日、30人がかりで行われた駆除作戦。池の中で絡まりあっている水草を切り出して取り除くのは重労働です。3日間の作業のかいがあって、大方なくなったように見えますが、まだまだ安心はできないといいます。
【大嶋範行さん】 「ここで全部終わったと思ったら、違うところから出たとかそういうのがあり得る。遮光シートで抑えているが、絶対100パーセント自信があるとは言い切れない。勝利宣言はまだできないですね…何があるか分からない、ナガエの場合は」
「地球上最悪」の外来種、出口の見えない戦いが続いています。
(2022年11月7日放送)