アメリカザリガニを水路に放流 「外に流れた」自然体験の主催者謝罪

 山形県酒田市の地域団体が7月下旬に開いた自然体験イベントで、外来生物のアメリカザリガニや金魚を最上川水系につながる水路に放っていたことが分かった。土囊(どのう)で水路をせき止めていたが、朝日新聞の取材に「一部が越えた可能性が高い」といい、謝罪した。

 イベントは7月24日に開かれ、小学生や幼稚園児、保護者など約40人が参加した。生き物のつかみ取りを体験してもらうもので、川で捕まえた魚などを用意していたプールの中に放ったほか、店で購入したアメリカザリガニ数十匹や金魚40匹を水路に放ったという。

 水路に土囊や網を置いて区切っていたが、それらの上にも水が流れており、参加者から「ザリガニが土囊を越えて外に流れた」との指摘があった。

 イベントは2003年ごろに始まったが、水路内に生き物を入れたのは初めてだったという。その様子を撮影した動画が8月上旬にSNS上にあがると、批判的な意見が多く寄せられた。

■専門家は放流のリスク指摘

 主催団体の代表代行は「子どもたちに捕まえてもらい、残りもスタッフが回収したつもりだった。私以外のスタッフ全員が初参加で不慣れだった。外来種の放流はあってはならないことで、私の監督が行き届いていなかった」と話し、謝罪した。

 山形大学農学部の小峰浩隆助教(保全生態学)は「水路をせき止めたとしても、乗り越える恐れがある」としたうえで、放流のリスクを指摘する。アメリカザリガニは、外来生物法改正で「特定外来生物」に指定される見通しだ。現時点で放流に罰則はないが、指定後は罪に問われる可能性がある。「生態系を脅かす恐れがあり、法改正にかかわらず放流は不適切だ」という。

 「ザリガニは『子どもの遊び相手』という身近なイメージが強く、脅威という認識が浸透しきっていない。生き物とふれあう機会は大事だが、プールなどで自然環境と切り離すことが必要だ」と語った。(小川尭洋)

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