特定外来生物「オオフサモ」大増殖で被害拡大 在来種や田畑に影響

 川や水路、遊水地に繁茂する特定外来生「オオフサモ」による被害が、岐阜県の西濃地域で拡大している。輪之内町では昨年、繁殖被害を初確認したが、今春になって大増殖。川底にからみつくように群生して水流を妨げ、町内に生息する絶滅危惧種カワバタモロコの生息に支障を来すほか、周辺田畑の生産物の生育や収穫にも影響するため、町は「見つけ次第、抜き取って駆除してほしい」と協力を呼びかけている。

 オオフサモはブラジル原産で、アリノトウグサ科の多年生水生植物。繁殖力が強く、茎が水中で分枝を繰り返して群生するほか、1センチほどの断片からも根を出し再生する。41都道府県で繁殖が確認されている。

 岐阜大応用生物科学部水利環境学研究室の伊藤健吾准教授(51)は、町内を流れる中江川の上流から中流で4月、オオフサモが10平方メートルほどの群生になって複数箇所に繁殖しているのを確認した。「誰かが捨てない限り、分布しない。水槽の観賞用水草として楽しまれていたものが捨てられ、下流へ広がったのでは」と指摘する。

 養老町で畑7アールを管理する60代女性は「畑の横の水路でも増えている。ひどい所では、川一面がオオフサモに覆われている」と困惑。輪之内町では今月、職員4人が町内の東江川で駆除作業をしたが、「取っても取っても、すぐまた生える」と困り顔で話した。

 伊藤准教授は「自然環境豊かな濃尾平野は在来生物が多く、だからこそ外来種が入ってしまうと、生態系から変わってしまう。購入した水草や生き物を川に捨てないようにしてほしい」と呼びかけ、「オオフサモは対策を取りながらの駆除が肝要。見つけたら役場に報告して」と語った。

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