樹木が穴だらけ、神戸の人工島・六甲アイランドに「新たな脅威」 アプリ活用、外来生物の生態調査へ

 生態系に深刻な影響を与える外来生物。神戸市内でこれまで確認されてきたアライグマやアカミミガメに加え、神戸市東灘区の六甲アイランドで樹木を食い荒らす外来のカミキリムシが「新たな脅威」になっている。市は状況改善に向け、アプリを活用した市民参加型の生態調査に乗りだす。(名倉あかり)

 中国、朝鮮半島原産の「ツヤハダゴマダラカミキリ」。国際自然保護連合(IUCN)が「世界の侵略的外来種ワースト100」に指定しており、市は2021年7月、初めて六甲アイランドで確認した。

 農林水産省神戸植物防疫所からの情報などを基に現地を調査したところ、好んで生息するというアキニレという木に食害が発生していることが判明。今年1~2月、穴だらけになった島内の公園や街路の被害木を中心に429本を伐採した。毒性はなく、人への影響はないという。  市は、市内の分布状況を調べるため、6月1日~8月15日、スマートフォン用の生物判定アプリ「Biome(バイオーム)」を使った調査を企画。

 アプリでは撮影した写真から人工知能(AI)が種別を判断する。市は「夏休み生きものクエスト~神戸で夏の虫さがし」と銘打って、市内全域で見つけた同カミキリやクマゼミ、カブトムシなど昆虫12種の撮影、投稿を市民に求め、楽しみながら協力してもらう。

 ツヤハダゴマダラカミキリは、在来種のゴマダラカミキリとよく似ているが、背中の上部に白い模様がないなどの違いがある。市自然環境課は「よく観察し、背中側から全身を写して」と呼び掛けている。

 市は画像データから位置情報などを解析し、市内の分布を把握するという。

 さらに7月9日、六甲アイランドの公園で昆虫や問題のカミキリを捕まえる親子向けのイベントを開催。六甲ライナーアイランドセンター駅の「情報・交流センター」には、市民が採取した同カミキリを市が回収し、駆除する「カミキリポスト」も6月1日から88月末まで設ける。

 久元喜造市長は11日の定例会見で「市民の皆さんに参画してもらい、地域の自然環境保全に取り組みたい」と話した。

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