ヒアリ「緊急対処生物」に 対策強化で法改正案 環境省

 環境省は、強い毒を持つ特定外来生物「ヒアリ」の侵入や拡散を防ぐため、新たに「要緊急対処特定外来生物」(仮称)として指定し、対策を強化する。

 港湾や物流施設などでヒアリと疑われるアリがいた場合、同省や自治体の職員が検査のため立ち入りできる規定などを設ける。3月上旬にも国会に提出する外来生物法改正案に盛り込む。

 現行法は、専門家がヒアリと確認した後、環境省職員らが駆除や拡散防止目的で民間敷地に立ち入り、検査できる。確認前の立ち入りは事業者の任意の協力が必要。種類を確かめるまで数日かかるほか、断られた場合は対応が遅れ、ヒアリが広がる恐れがある。

 改正案は、要緊急対処特定外来生物を政令で決められる仕組みを創設。生態系や農林水産業への影響が大きく、根絶が困難なコロニーを形成する外来種が対象で、ヒアリのみを指定する方針だ。

 指定されれば、種類の確認前でも職員に立ち入り権限を持たせる。アリの付着が疑われる貨物だけでなく、周囲の土地や施設も検査できるようにする。ヒアリがいる恐れがある貨物や車両の移動も禁じ、事業者が立ち入りや検査などを拒否、妨害すると罰金などを科す方針だ。

 国内でのヒアリの発見件数は2017年6月の初確認以降、84件。攻撃性も高く、刺されると強い痛みが生じ、最悪の場合死に至るケースもある。定着すると屋外レジャーを安心して楽しめなくなるなど日常生活に大きな影響を与える。 

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