捕食されたウナギの稚魚、エラからニョロリと脱出…「生き残るため細長い形に進化の可能性」

 長崎大(長崎市)は、ニホンウナギの稚魚が別の魚に捕食された後、エラの隙間から脱出するケースを確認したとの研究成果を発表した。同大は、絶滅危惧種のニホンウナギの捕食回避行動が初めて明らかになったとしている。

 研究成果は、米国の生態学専門誌「エコロジー」に掲載された。ニホンウナギは稚魚の密漁や河川改修による環境の変化で減少し、環境省から2013年に絶滅危惧種に指定された。しかし、同大水産・環境科学総合研究科の河端雄毅准教授(38)によると、捕食回避に関する研究はなく、同大と国の研究機関「水産研究・教育機構」のグループは20年から、捕食者のドンコとニホンウナギの稚魚を同じ水槽に入れて観察する研究を開始した。

 実験では、ニホンウナギが攻撃をかわしたり、食べられたりする瞬間を撮影していたが、食べられたはずのニホンウナギが水槽内で泳いでいるのを発見。長時間撮影できるカメラに切り替えて観察すると、ドンコに捕食されても、半数以上の54匹中28匹がエラの隙間から抜け出していたことが判明した。

 河端准教授は「捕食された後に脱出する行動は魚類以外を含めても珍しく、ニホンウナギは生き残るために、ニョロニョロとした細長い形へと進化した可能性もある」と話した。

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