アメリカザリガニの販売や放出規制 改正案提出へ 飼育継続はOK

 アメリカザリガニとアカミミガメ(ミドリガメ)といった生態系などへの影響が深刻な侵略的外来種について、中央環境審議会野生生物小委員会は23日、輸入や販売、野外への放出を規制することを求める答申案を大筋で了承した。飼育を禁止すると大量放棄の恐れがあるため、ペットとして飼い続けることは認める。環境省は新たな規制を盛り込んだ外来生物法改正案を来年の通常国会に提出する方針。

 現行の外来生物法では、生態系や人の生命、農林水産業などに被害を及ぼすか、及ぼす恐れのある外来種を「特定外来生物」に指定し、飼育や輸入、野外放出などを原則として禁止している。アメリカザリガニなどの指定もこれまで検討されてきたが、大量放棄への懸念から見送られてきた。

 今回の答申案では、アメリカザリガニなどについて、現行の特定外来生物のように一律に飼育の禁止や譲渡の規制をするのではなく、「販売や放出などを目的とした飼育を規制する新たな仕組みが必要だ」とした。一般の人が野外で捕まえて、ペットとして飼育することは従来通り認められる見通し。

 アメリカザリガニとアカミミガメは北米原産で、繁殖力が強く日本全国の水辺に定着している。アメリカザリガニの食害で在来種の水草や水生昆虫、魚などが激減したり、ニホンザリガニが駆逐されたりするなどの被害が確認されている。アカミミガメに食べられてレンコンの収穫量が減少するといった農業被害が起きている地域もある。

 また答申案では、南米原産で強い毒を持つ特定外来生物「ヒアリ」など、国内で確認されて日の浅い特定外来生物の拡散や定着を防ぐため、実際にヒアリなどと特定されなくても「恐れ」の段階で防除を進める必要性を指摘した。環境省はヒアリが確認された近隣の土地で、所有者が調査を容認しなかった場合などに罰則を科すことなどを検討している。【信田真由美】

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