売買される怪魚や美麗種 絶滅の恐れある魚のネットオークション増加

 「怪魚」とも言われるアカメや、細やかなうろこが美しいゼニタナゴなど、絶滅が危ぶまれている国内の魚類について、インターネットオークションでの売買が増えている。取引自体は違法ではないが、生息エリアの自治体の担当者は「生態系を守るために、販売目的での捕獲は控えてほしい」と呼びかけている。

 ネットオークションでの取引の実態を調べたのは、一般社団法人自然環境研究センターの高久宏佑・上席研究員らのチーム。ヤフーが運営する「ヤフオク!」で、2009年5月から19年4月末の10年間の取引実績をデータ会社から取得し、解析した。ヤフオク!は魚類や両生類、虫の生体の出品を認めている。一方、大手フリーマーケットサイトの中には生体の出品を禁じているものもある。

 環境省のレッドリストに掲載された絶滅危惧の魚類180種余りについて、和名などをもとに取引データを抽出したところ、88種で約2万件を確認。このうち、フィギュアなど生体ではないものや、明らかに外国産の養殖個体とわかるものなどを除くと、88種で約1万7千件の取引があったことがわかった。

 年度別では、09年度は863件の約193万円だったのが年々増加し、12年度は1793件の約410万円、18年度は最も多く2765件の約857万円に達していた。

 取引が確認された88種のうち、10年間で100件以上と活発に取引されているのは31種だった。もっとも多かったのが、主に西日本の河川に生息し大きな斑紋が特徴的なオヤニラミ(2692件)。次いで、高知県の河口などに生息し、光を当てると目が赤く反射するスズキ目のアカメ(2299件)、繁殖期に美しく発色する日本固有種のゼニタナゴ(1136件)だった。上位10種で取引全体の65・8%を占めていた。

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