“特別天然記念物”のオオサンショウウオ。実は今、在来種と外来種との“交雑種”が増えているといいます。それを恐れ、日本固有のオオサンショウウオを守ろうと、三重県名張市では、さまざまな取り組みが行われていました。
三重県名張市にある廃校となった小学校のプール。
その中で、ウネウネと動いているのは、オオサンショウウオ。
オオサンショウウオといえば、在来種は“特別天然記念物”となっている貴重な生き物です。
しかし、プールの中にいるのはー。
「日本産(在来種)と中国産(外来種)との“交雑種”のオオサンショウウオがほとんどです」(名張市教育委員会 山崎雅樹 係長)
外来種と在来種との“交雑種”だったんです。
見た目はほとんど同じですが、交雑種は、気性が荒いなどの特徴があるとのこと。
1970年代に、日本は食用として、中国で生息していたチュウゴクオオサンショウウオを輸入しました。その一部が野生化して、在来 種との交雑が進んでしまったといいます。
調査の結果、交雑種と分かった個体が、このプールで飼育されているのです。
「国産のオオサンショウウオがいなくなってしまうことを危惧しております」(名張市 山崎さん)
在来種のオオサンショウウオを何とかして守ろうと、この日、調査が行われるということで、名張市の許可を得て、在来種の保護活動を行っている川内彬宏さんに同行させてもらいました。
調査するのは、まだ交雑種が見つかっていないエリア。交雑が始まっていないかのチェックです。
オオサンショウウオは夜行性ということで、ライトで照らしながら、川の中を探します。
川を歩くこと、約30分。
「いました。人を見て慌てて逃げるわけではなく、(人が)いることは分かっているんですよ、明かりで。だから、そーっと離れていこうとはするんですけど」(川内彬宏さん)
調査では、在来種にはマイクロチップをつけ識別できるようにしているのですが、このオオサンショウウオは去年4月に一度、川内さんが見つけた個体でした。
「1年半くらいで3センチぐらい大きくなっている。ほとんど位置を変わらずに、ここに居られるということは、いい環境だということだと思います」(川内さん)
今回も大きさや重さなどを調べ、川に戻します。
この日の調査では、交雑種は見つかりませんでしたが、川内さんは危機感を募らせます。
「取っても取っても(交雑種が)いるんでね、減っているという実感がないのが本音。いつか、在来種がたくさん見られる場所に戻ってくれたらいいなと思います」(川内さん)