セアカゴケグモに注意 富山で7~8月3匹確認

■県外、かまれたケースも
 神経毒を持つ特定外来生物「セアカゴケグ」の発見が、富山市内で相次いでいる。7~9月に3匹が立て続けに確認され、県内での確認は2017年以降10例となった。国内では、半袖などの薄着になる6~10月にかまれるケースが報告されている。県は「見つけたら自治体に連絡してほしい」と呼び掛けている。

 県自然保護課によると、県内では17年に富山市長附(大沢野)で初めてセアカゴケグモが確認された。18年には3カ所で見つかり、19、20年はともに1カ所での発見にとどまっていた。  今年7~9月には、同市内の事業所3カ所で1匹ずつ見つかった。会社の敷地内などで見つかるケースが多い理由について、同課は「県外で繁殖した個体が物流の過程でトラックや列車にくっつき、県内に入ってきている」とみる。

 18年に同市下赤江の富山貨物駅コンテナヤードで10匹が確認された際には、付近に卵の殻もあった。国内では定着が認められた自治体が複数ある。相次ぐ発見に、同課は「県内で繁殖しているかどうかは分からないが、警戒は怠れない」と危機感を強める。

 県外では、毎年6~10月に被害が報告される。同課は「半袖の服を着るなど肌が露出することが影響している可能性がある」と指摘。対策として、屋外で草むしりなどをする際の軍手の着用を挙げる。

 セアカゴケグモは、暖かく日当たりの良い場所を好むが、屋外に放置された靴の中やベンチの裏側に潜むこともあり、注意が必要だ。駆除には家庭用の殺虫剤が有効だという。

 発見された場所の周辺で別の個体や卵の有無を調べる必要があるため、同課は「見つけたり、駆除したりした場合は県や市町村に連絡してほしい」と求めている。

■重症化はまれ傷口洗い病院へ

 セアカゴケグモにかまれた際の対応について、県衛生研究所は「傷口を水で洗い流した後、速やかに皮膚科や総合病院に相談してほしい」としている。

 同研究所によると、かまれた箇所が痛んだり腫れたりするなど、軽症で済むことが多い。重症化するのはまれで、国内では死亡例がないため、「過度に不安にならず、落ち着いて対処してほしい」と呼び掛ける。

 ただ、重症化して進行性の筋肉まひなどの症状が出た場合は、血清による治療が必要になる。全身に痛みやしびれを感じる場合は、タクシーや救急車を呼ぶことを考慮すべきという。

 クモを特定できれば治療に役立つため、同研究所は「病院に行く際は、できれば退治したクモを持って行ってほしい」とする。

+Yahoo!ニュース-地域-北日本新聞