「登録は新たなスタート」 最古参マングースバスター、喜びかみしめ 世界自然遺産「奄美・沖縄」

 世界に価値が認められた-。「奄美・沖縄」の世界自然遺産登録が決まった26日、地元から歓喜の声が上がった。自然保護団体メンバーや行政関係者らは「登録は新たなスタート」と貴重な自然を未来につなぐ活動の強化を誓い、地域活性化に期待を膨らませた。

「活動してきたかいがあった。希少生物の生息域が回復した豊かな自然を多くの人に見てもらいたい」

 環境省が2005年に結成した特定外来種マングース駆除専門チーム「奄美マングースバスターズ」の最古参、山室一樹さん(60)=大和村大金久=は喜びをかみしめる。

 自然が好きで、東京の会社員時代から動植物を観察するため奄美大島に通った。アマミノクロウサギなどの希少種を捕食するマングースが生態系を脅かしているのを知り、「森を守りたい」とチーム参加のため移住した。

 毎日のように山に入ってマングース捕獲用のわなを点検する。休日も観察やパトロールで足を運び、「カエルに昆虫、目に見えて在来生物が増えた」と実感する。野生化したネコによる希少種捕食や密猟と課題は残る。「保護活動はこれからが本番。島の宝を未来につなぐため、変わりなく活動を続ける」

 徳之島の山と海の保護活動に約30年携わる県希少野生動植物保護推進員の池村茂さん(65)=徳之島町母間=は「貴重な生き物を島全体で守る意識が高まれば」と期待する。

 島に生まれ3歳の時に神戸に移ったが、故郷の海が忘れられず19歳で帰島した。サンゴの再生プロジェクトなどに携わるうちに「すぐそばの森にも貴重な動植物が多く生息している」と知り、観察や保護に関わり始めた。

 昆虫捕獲用の違法わなや盗掘に目を光らせる。登録を喜ぶものの、希少動物の交通事故死は減らず、つい最近も大量のわなが見つかり心を痛める。「観光客や島民のマナーが一層問われる。まだまだ自然を守る大切さを訴えていかなければ」と気を引き締めた。

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