生態系への影響が深刻な外来種のアメリカザリガニとアカミミガメ(ミドリガメ)について、環境省は法令で定める特定外来生物に指定し、野外で繁殖しないよう規制する方向で検討を始めた。特定外来生物に新たな区分を設けて、ペットとして飼うことは認めたうえで、輸入や販売、野外に放出することを禁止する。
アメリカザリガニとアカミミガメは原産地の北米から持ち込まれ、日本各地の池などで繁殖。在来種の脅威となり、農作物などへの被害も目立つ。ただ、外来生物法で定める特定外来生物には指定されておらず、規制の対象外だった。
指定すると、輸入や販売だけでなく飼育にも国の許可が必要になる。扱いに困った飼い主が野外に一斉に放つと逆効果になりかねず、指定の是非が議論になっていた。子どもが遊びで釣り上げたり、知らずに捕まえて家に持ち帰ったりした場合にどう対処するかなど、個別のケースについては今後、詰めるという。
6日の専門家会合で、規制の必要性などを盛り込んだ提言案が示され、大きな異論は出なかった。8月にも提言を正式に取りまとめる。環境省は来年の通常国会に改正法案を提出する方針。早ければ2023年にも規制が始まる可能性がある。
特定外来生物は、在来種を脅かしたり、農作物に被害を与えたりする外来種を指定して規制する制度。アライグマやオオクチバス(ブラックバス)など156種類が指定されている。現行の規定では、個人が許可なく販売や譲渡、野外に放つと3年以下の懲役か300万円以下の罰金、ペットとして許可なく飼育しても1年以下の懲役か100万円以下の罰金がそれぞれ科される。(川田俊男)