ジャンボタニシから稲守れ JA湘南が平塚市で一斉駆除 神奈川

 稲を食い荒らす外来種のスクミリンゴガイ(通称ジャンボタニシ)による被害を防ごうと、神奈川県平塚市内の田んぼで一斉に駆除作業が始まった。県内一の米の収穫量を誇る同市の農家には、被害拡大は深刻な事態となっている。これまで駆除は各農家の判断で行っていたが、今年から大々的に実施している。


 JA湘南によると、ジャンボタニシは南米原産で、殻の大きさは2〜7センチほどの大型の巻貝。1980年代初頭に食用として輸入されたが、その後に野生化し、西日本を中心に食害が発生した。県内では約10年前に平塚市内で初めて見つかり、周囲の市町村に拡大しているという。
 ジャンボタニシは春から夏にかけて数日に1度のペースで産卵し、一回数百個に上る。寒さに弱く、冬季は水がひいた田んぼの土中に潜んでいるため、毎年耕運機で土を掘り返して冷気にさらしたり、押しつぶしたりして駆除している。
 しかし、昨年は特に被害が大きかったという。暖冬の影響で冬を越す個体数が増えたことが原因とみられている。ジャンボタニシは用水路を伝って生息域を広げており、一部のエリアで駆除しても被害を抑えることはできないという。そこで、危機感を抱く地元の農家が声を上げ、今年から被害が集中する豊田、神田地区で一斉駆除を行うことにした。
 同市豊田宮下の農家片倉喜禎さん(74)は昨年、収穫量の2割に当たる米約600キロ分が被害に遭ったという。「せっかく苦労してやったのに…」と肩を落とす。田んぼに散乱するジャンボタニシの殻に目を落とし、「一人一人が意識を持って取り組まないと、被害は増す一方だ」と危惧する。
 JA湘南の担当者は「来年以降はさらに範囲を広げて一斉駆除を行いたい。各農家の協力が必要」と話している。
+Yahoo!ニュース-地域-カナロコ by 神奈川新聞