外来種の食虫植物「エフクレタヌキモ」 15年前に“駆除”も再び繁殖

 兵庫県西宮市越水社家郷山の池に外来種の食虫植物「エフクレタヌキモ」が自生している。放射状に広がる葉が特徴的だが、繁殖力が強く特定外来生物の指定候補になっている。市は15年ほど前に一度、回収したが完全には消滅せず、再び生育したものとみられる。地元の自然保護団体は「他の植生が追いやられる危険性がある。持ち帰ったりしないように」と注意を呼び掛けている。(風斗雅博)


 環境省の専門家会議資料などによると、エフクレタヌキモは南米の原産で熱帯や温帯に分布する。主に春から夏に鮮やかな黄色い花を咲かせ、水面近くで放射状に葉が輪生する個性的な形が目を引く。
 水草愛好家によって国内に移入したとされ、兵庫県では1990年以前から確認されている。長さ2メートル以上になることもある茎は、立体的に枝分かれなどして水中を占有するため、希少な水生植物と競合し、駆逐する可能性も。県内では競合したイヌタヌキモなどが消滅した例もあるという。
 西宮市みどり保全課によると、この池では15年ほど前に当時の職員2人が網で一部を回収した。西宮自然保護協会によると、2014、15年は繁殖がほとんど確認されなかったが、16年から再び生育するようになったという。同会の能登康夫会長(69)は「切れ端が繁殖したのでは。本来なら毎年駆除をしないといけない。鳥の足などに絡まると別の場所に広がる可能性もある」と指摘する。
 その旺盛な繁殖力から専門家らの間では生態系への影響が懸念される。環境省では現在、エフクレタヌキモを新たに特定外来生物として指定するためパブリックコメントを実施。指定されれば年内にもリストに加えられるという。
 同課は「特定外来生物に指定されるならば駆除が望ましいが、予算や事態の緊急性を鑑みると、すぐに対応するのは難しい。まずは個体を増やさないよう市民への啓発を進めたい」としている。
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