清流のシンボルとして知られ、絶滅の危機にさらされている淡水魚「ムサシトミヨ」。他のトミヨ類とは体の特徴が異なり、独立した種であることが分かった。1960年代に日本の魚類図鑑で紹介されて以来、これまで60年余り、分類学上の位置づけがはっきりしていなかったという。
ムサシトミヨは、水温が低く、きれいな小川を好む。オスは水草などを使って水中に巣を作り、子育てをする。かつては東京都、千葉県、茨城県など関東地方に広く分布していた。
しかし、開発などの影響で生息環境が悪化し、現在は埼玉県熊谷市の元荒川の上流部が世界で唯一の生息地となっている。「ごく近い将来に絶滅する危険性が極めて高い」として、環境省のレッドリストで「絶滅危惧IA類」にランク付けされている。
トゲウオ目の魚で、「トミヨ属」というグループに属することは以前から知られていたが、独立した種かどうかは分かっていなかった。
鹿児島大総合研究博物館の松本達也特任助教と国立科学博物館の松浦啓一名誉研究員の研究チームは、ムサシトミヨの体の特徴を詳しく分析。骨格の形などが、日本に分布する他のトミヨ類とは異なることを突き止めた。DNAの解析結果も独立した種であることを示しているという。
