「地球上最悪の侵略的植物」の異名を持つ特定外来生物の雑草「ナガエツルノゲイトウ」が福島県いわき市の水田で初確認されてから、2年が経過した。NPO法人いわき環境研究室などの調査では、水田に加えて同市を流れる鮫川や蛭田川でも着生が判明。繁殖力の強さから完全防除は難しく、同NPOは本年度、生息域の抑制に向けた広報活動を強化する考えだ。
「取り除いたつもりだけどまだ残っているのか。始末に負えないな」。同NPOなどが昨年度に株を取り除いた地点で再び芽を出すナガエツルノゲイトウを見つめ、同NPOの原田正光理事長(67)は苦笑いを浮かべた。
同市では2024年6月にナガエツルノゲイトウと疑われる雑草が発見された。東北では初めての確認だった。同NPOは昨年9月、県の依頼を受けて調査に加わった。発生源とみられる川部地区の水田の下流に位置する鮫川や、蛭田川の複数の地点で着生が判明した。原田理事長は広がりの状況から、何らかの手段で持ち込まれ、20年以上が過ぎているとみる。
「知らない人が多すぎる」。原田理事長は、ナガエツルノゲイトウが確認された地域でその存在を知らない住民が多いことに危機感を募らす。県や市は農家向けに注意点や対応策を示している一方、一般市民向けの啓発は進んでいない。
ナガエツルノゲイトウは茎の再生力が強く数センチの断片から発根して増殖する。原田理事長はこうした特性を知らない人が善意で引き抜いたり、気付いていても放置したりすることによる”二次被害”を懸念する。
同NPOは本年度、広報活動に重点を置き、福島高専と協力してナガエツルノゲイトウが確認された地区で啓発講座を開く。発生が確認されている場所を見学し、特徴などに理解を深めてもらう考えだ。原田理事長は県や市が設けている外来種などの通報フォームも効果的とし「情報を寄せてもらうことが最大の防除につながる」としている。
収穫量や機械作業に影響
ナガエツルノゲイトウは南米原産の多年草。国内では1989年に兵庫県で初めて見つかり、これまで31都府県で確認されている。川幅が狭い河川で繁茂した場合には洪水時に被害を広げる可能性があり、水田や畑では収穫量の減少や農業機械の作業性の低下をもたらす懸念がある。
兵庫県では、河川やため池を中心に着生。遮光シートで光合成を抑制しているほか、用水路にネットを張るなどして農地への侵入を防いでおり、本年度は特定外来種の防除に9千万円を充てている。
